第51話

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2024/05/02 11:59
Re「てか、何でお前が此処に来るんだよ。普通に邪魔だ帰れ。」
シッシ、と虫を振り払うようにマッさんを睨むリーパーさん。
因みにこの「マッさん」はフェルさんの愛称。愛称呼びの許可により私のネーミングセンスが輝いたというわけだ。
自惚れてるって?仕方ないだろ自負してんだから。
Fe「ンな事言ッたって、俺だッて来たくて来た訳じゃァねェよこの陰険陰湿野郎。」
彼の挑発にノったフェルさんがリーパーさんを煽り、ぴりぴりと今にでも爆発しそうな案配だ。
『ちょっと待った。

マッさんは誰によって此処に飛ばされたの...?』
そんな状況下、流石に危ないと思った私は二人の調停人となり仲を取り持つ。
マッさんは突然上から・・・落ちてきたのに加え、その時の彼は上手く状況を呑めていない様子だった。
そのことから自分の意思で飛んだ訳では無いことが伺える。
少なからず他意・・が含まれていることも。
Fe「あ"ァ"?ンなモン覚えてる訳ねェだろうが。急に押し掛けてきたかと思えばそのままポータルに押し込められた-.........


って あぁッ!!!」
急に黙って急に叫びだしたかと思えば、マッさんはわなわなと顔を青ざめ震えだした。
Re「ポータル移動が出来るのは極僅かな人物のみ。そんでもって今この状況にFellを遣わしに来る奴と言えば」
リーパーさんの言葉にハッとくる。
Fe「思い当たるヤツは一人しかいねェ。」
『ナイトメアさんだ』「Nightmareだ」「Nightmareだろうな」
三人、但し内二人は骨の声が一部分ピッタリと重なる。
Fe「っつったって、ンでヤツがンな事するンだよ」
Re「それは-
『私が巻き込んだ。』
リーパーさんの言葉を遮り私の低い声が響く。
自分で聞いている自分の声と、他人ひとが聞いている声は多少なり違うと聞いたことがある。
自分で聞いていてもこんなに低いのだから、彼らからすればとても年頃の女が出すものとは思えないのだろう。
「あ"ァ"?」と、そんな私の決心をつけるための時間稼ぎに終止符を打ったのはマッさんの私より何倍も低い声。

怒ってる、よね...
仕方ない、よね...

ぐるぐると嫌悪感が躰を廻る。
Fe「あンなァ、」
またしてもマッさんが私の下らない思考に区切りをつける。
Fe「お前、先刻ヤッたアレ・・わかンだろ?」
その瞬間、彼によって顔面に吹き掛けられた煙草の香りがフラッシュバックした。
今嗅いだ訳でもないのに、脳が勝手にその時に記憶された情報を鮮明に思い出す。
Fe「He, この程度で茹立つ何て。とてもじゃねェけど、俺のペースにゃ着いてけねェな。」
顔に煙草の煙を吹き掛ける意味、それを知らないほど私は子供じゃない。
赤面する私を横目に、彼は煙草を一本取り出し、煙に火を着ける。
Fe「オメェも吸うか?あなた。ハマるぜ」
彼が一度口付けた煙草を、私に差し出すマッさん。
それに「大丈夫です」とお断りを入れておく。
身体は大事にしたいんだ。幾ら死ねない体質だからといって、寿命で老いて死ぬ可能性は否めない。
ならせめて、「生」という延長線上にある「死」という概念を、遠ざけたいと思うのは人間誰でも一度は有るだろう。
「生」の反対は「死」ではない。「死」は「生」に組み込まれたものの一部に過ぎないのだから。
裏を返せば、「生」は「死」という目標に辿り着く迄の経過路。
毎日を生きるとは乃ち死へと一歩一歩歩んでいるということ。
一日一日を過ごす度、着々と死に向かい往く人間は、何を思って生きているのか。


それは何れにしろ、尊き儚いものなのだろう

そう思うと自然と笑みが溢れ出す。
『マッさんも身体は大事にしなよ。』
突然忠告された事といい私が急に笑いだした事といい、彼が疑問符を頭の上に浮かべるのには充分な理由があった。
「お、おう......」
そんな自分を隠すように言葉を濁したマッさん。
彼の吸う煙草の煙が、やんわりと部屋を停滞する。
Fe「あンな、俺が言いたかったのは」
ぐいっと手を引かれ、強引に煙たい口を押し付けられる。
Fe「そン時・・・まで俺の為に生きろッて事だ。」
その時というのは、あの行為の意味が明かされる時。

『んは、何それ...おかし。』
口から出る吐息は、少し煙草の香りがした。
Fe「生憎口説き文句のレパートリーは少ないモンでな。」
無遠慮に笑う私を見て照れくさそうに頬をかくマッさん。


やり方はどうであれ、私に生きる意味を与えてくれたマッさんなのだから。
『"その時"まで、マスの為に生きるよ。でも行為には至りたくないかも。』
なんて言うと、欲張りな姫サンだな、とまた口を塞がれる。

まだ煙の臭いの残る咥内に少しだけ愛着が湧いた日の事だった。



死とは隣人の関係に在るのだから
自分と同じ様に愛しなさい。










     顔に煙草の煙を吹き掛ける意味

        「今夜お前を抱く。」
更新サボってすいせんッした。
Q.弁明は。
A.偏頭痛が酷かったんでs(((
昨日といい今日といい、偏頭痛持ちのとまけろはばっちりくたばってました。
だからといって更新を遅らせていた事には変わりないので、お詫びと言ってはあれですが、2000文字越えです。
いやー、偏頭痛辛い中よく頑張った(((殴
てことで毎度恒例スポラ紹介(もう何が何だか)
YUUNA様 天座 翠蓮様 ぴよたま🐣🥚様



スポットライトありがとうございました!!
てかこれってすみれって読むんですね勉強になりました(この年になってもまだまだ学ばせられる事は山程あるのだと思わせられた←)
今回のこのお話は結構とまけろの見解が多いお話でしたね。
「死」と「生」のことについて
皆様は「死」が恐いですか?
とまけろも幼少期はそう怯えていました。
不思議なことに、今は全く恐くはないんですよね。
もうこれは人生経験な気がします。

ですが1つとまけろから忠告。
経験し体験することは非常に佳い事ですが、海千山千になってはいけません。
これ以上は語り始めると歯止めが利かなさそうなので名残惜しいですが辞めときます(自制)
何時かまた他意見の方とも茶席を囲みたいと思う今日この頃。

んー、偏頭痛辛い。(雰囲気ぶち壊し)偏頭痛持ちの同志いませんかね...?(((

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