第22話

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2024/05/05 03:30





僕は、僕の恐怖心に勝てなかった。

恋人関係の行方は二択で、結婚、または破局。

もしあなたと付き合えたとして、それの終わりは何なのか。


中学1年の彼女と高校3年の自分。

学生同士の恋愛の行方なんて、もう決まっているようなものではないのだろうか。

別れたカップルは、もう一生関わらないことの方が多いと思う。

もし彼女に振られても、同様に彼女から避けられて関わらなくなる。


そんなの、嫌だ。

どうしても、そばにいたい。

離れたくない。

避けられたくない。

けれど、彼女を恋人にして、恋人しかできないこともしたい。

矛盾してるよね。

けれど、僕が弱いせいで何もできないんだ。

ただ、あなたの笑顔をそばで見ていたいんだ。





とりあえず、彼女が僕に気があるのか試してみることにした。

「好きな人がいるんだ。大学は別だから、告白しようか迷ってる」


あなたに「頑張って」なんて言われたくない。

彼女の喜ぶ顔を見たくない。


「頑張って。ソクミンくんならきっと成功するよ」


僕の恋は叶わないみたいだった。

酷く胸が締め付けられた。

悲しかった。泣きたかった。


僕が食事中元気がなかったことを気にしてくれるほど、優しいあなた。

ますます好きになってしまった。

でももう、諦めなくちゃ。

運命の線は、彼女とは交わらないみたい。

本当に、悲しかった。





いつまでたっても引きずった。ひとりで寂しさを埋めようとしても無理だった。

大学に入ってばかりの頃は、講義中も頭の中はあなたのことばかりで全然集中出来ない日々。


そんなこんなで決めた。

この街を出よう。

一度、離れてみよう。

何か、変わるかもしれないから。





それは、正解だったみたい。

「ソクミナ、大丈夫?たまに暗い顔してるけど」

「あぁ、うん、ありがとう」

「何かあった?」

「まぁ、あったけど…」

「…差し支えないのなら、私でも聞くよ。なんでも相談して」

「…ありがとう」


僕の同僚の君は、いつも僕の支えになってくれた。

彼女の綺麗な黒髪のロングとは違って茶髪のボブ。

あなたのマシュマロのような雰囲気と変わって君はキャンディのように元気で明るい。


誰かが悲しい顔をしていると必ず駆け寄って、最終的には笑顔にさせちゃうんだ。


そんな優しい君に、僕は段々と惹かれていった。

きっと、君のことを好きな人は他にも沢山いるだろう。

けれど、君は僕を選んでくれた。

最高に嬉しかった。


社会人4年目、付き合って3年目、頃合いを見てプロポーズをした。

結果は成功で、結婚式を挙げることを決めた。





僕の故郷に両親に挨拶に行って、ついでに幼馴染について聞いた。

まだ彼女はこの隣に住んでいるとのことなので、僕一人で訪ねることにした。


「結婚しました。これからもたまには遊びたいな」

そう言うと、彼女は泣いて喜んでくれた。

おめでとうって、言ってくれた。

彼女は前に見たよりも綺麗で、大人っぽくなっていた。

僕が恋していた彼女と、少し違うように感じた。

もう、彼氏もいるのだろうか。

元気に過ごしてるかな。

幸せだと、いいな。

今まで、本当にありがとう。

君には感謝しきれないよ。

僕に、愛というものを教えてくれてありがとう。

君に恋をしてよかったよ。




さようなら、僕の初恋。


さようなら、僕のブルー。





fin.

♫SEVENTEEN - THANKS

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