夕方、中学2年生の多田 咲真は一緒に帰っている山本 絵衣理と早瀬 光太郎と中山 亜月に話しかけた。
あづきとえいりは首をひねる。
こうたろうが目を輝かせて言った
こうたろうは戦国武将についてとても詳しかった。歴史のテストはいつも戦国時代は高得点だ。
あづきとえいりは照れ笑いを浮かべた。それをみてこうたろうとさくまは微笑む。
突然背後から誰かに声をかけられた。4人は振り向くとそこには同じくらいの歳の少年が立っていた。その少年は2本のツノが生えていて、左目の赤い瞳の中には十字架が刻まれている。ワザワイだ。
こうたろうとさくまは突然話しかけてられて、ワザワイに戸惑いと苛立ちを感じた。あづきとえいりは戸惑った表情でワザワイを見ている。ワザワイはそんな4人を見てふっと笑った
さくまは意味がわからず首を傾げた。一方、こうたろうはさっきの苛立った表情が消え、少し興味を持ったような表情になっていた。
するとワザワイは、ポケットから銀色の鍵を取り出し、4人に見せた
ワザワイの持っている鍵は、家の鍵や自転車の鍵と違って上の部分が複雑な形になっていた。
こうたろうが尋ねると、ワザワイは鍵をこうたろうに手渡した
さくまがそう言うとワザワイは頷いた。
ワザワイはため息を吐くと、4人を見てめんどくさそうな表情で手を出して言った
こうたろうはバックからメモ帳とシャーペンを取り出し、ワザワイに渡した。ワザワイはそれを受け取ると、素早く呪文を書いてこうたろうに渡した。
そう言うとワザワイは歩き去ってしまった。その場に取り残された4人はワザワイから渡された銀の鍵と呪文の書かれた紙を見つめた
こうたろうが静かに3人に聞いた
さくまが先にある横断歩道を指さす
4人は横断歩道へ向かう。信号は青だ。4人は渡ろうとした。その時、信号が点滅し、赤になった
こうたろうとあづきは文句を言う。そんな2人にさくまは話しかけた
1分くらい経った後、信号は青になった
4人とも渡り切ったところで、こうたろうは鍵を取り出した
3人はこうたろうに捕まる
こうたろうは呪文の書かれている紙を取り出し、鍵を回す
鍵が9回回ったとき、視界がぐにゃりと曲がった。そして、元に戻った時、4人は横断歩道を渡る前のところに戻っていた。信号は点滅し、赤になる
4人は信じられないと思いながらも興奮する。こうたろうが笑顔で3人を見た
この4人は同じ吹奏楽部に入っている。明日は顧問がコンクールについての会議があるらしく、休みなのだ。
明日の予定が決まり、4人は信号が青になった横断歩道を渡り、帰っていった
次の日、予定通り1時半に4人はこうたろうの部屋に集まっていた
急かすように言ったあづきとえいりにこうたろうとさくまは驚いた
するとあづきとえいりはふふっと笑った
昨日と違ってのんきな2人にこうたろうとさくまは呆れる
こうたろうは机の引き出しから銀の鍵と呪文の書かれた紙を取り出した。すると3人がこうたろうに捕まった
こうたろうは鍵を回そうとした時、ハッとした
こうたろうは銀の鍵を見つめ、回し始める
鍵が9回回った時、4人の視界がぐにゃりと曲がった
視界が戻った時、4人の目の前にはたくさんの人々がいて賑やかだった。人々の前には大きな建物があり、そこで踊ったり喋ったりしている
歌舞伎とは江戸時代に流行った伝統的な演劇だ。
4人は江戸時代に来たことに興奮して、歌舞伎をしばらく真剣に見た。1部が終わったところで、こうたろうは鍵を取り出した
こうたろうは呪文を唱え、鍵を回す。するとまた視界がぐにゃりと曲り、元に戻ると、ちょうど戦っているところだった。
4人で興奮してはしゃいでいると、矢が飛んできてこうたろうのすぐそばの地面に刺さった
えいりはほっと胸を撫でおろした
こうたろうは少し残念に思いながらもここにいるのは危険だと思い、鍵を取り出した
こうたろうは呪文を唱えながら鍵を回す。そして平安時代に着いた。寝殿造の建物が4人の目の前に建っている。周りには貴族の人々が詩を書いていたり、蹴鞠をしていたりしている
あづきの言葉に全員賛成し、しばらく貴族の様子を眺めたり、詩を書いてみたりした。
こうたろうは鍵を取り出した。するとある疑問が出てきた
こうたろうは呪文を唱えながら鍵を回す。視界がぐにゃりと曲がり、元に戻るとそこには人が少なく、建物もない広い土地が広がっていた
こうたろうは再び鍵を回した。そして移動した場所は、さっきより人が少ない
4人は不安になり、顔を見合わせる
4人はますます不安な顔になり、沈黙が続いた。やがてさくまが顔をあげた
さくまの真剣な顔を見てあづきとえいりは顔を見合わせる。そしてこうたろうとさくまに再び顔を向けた
こうたろうは鍵を構えた。3人はこうたろうに捕まる。こうたろうは深く深呼吸をする。そして大きく息を吸った
視界がぐにゃりと曲がる。そして、目の前に現れた風景はこうたろうの部屋…ではなく、森だった。
4人は森の出口へ向かった。そして森を出た時、目の前の景色に唖然とした。
4人は状況が把握できず戸惑っていると、前方からとある人が歩いてきた
こうたろうとさくまは安堵の表情になる。一方、あづきとえいりはさらに戸惑った表情だ
2人がそう言った時、歩いてきた人物の姿がはっきり見えた。
その人物は2つのツノが生えた赤い目の少年___ワザワイだった
それを聞いて、4人は驚いた
ワザワイは頷いた。それを見て4人は青ざめた表情で顔を見合わせる
必死に訴える2人を見てワザワイはふっと笑った
するとワザワイの口元が微笑んだ
あづきとえいりはショックのあまり膝から崩れ落ちて泣いてしまった
こうたろうとさくまは不安を抱きながらも、泣いている2人を必死に慰める
ワザワイは4人のことをよそに森へ入る。そして、わずかに笑みを浮かべた
そう呟いてワザワイは姿を消した
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。