~翌日~
昨日、挨拶できなかった103号室と203号室の人に挨拶しに行こう。
今日はいてくれるといいな…
まずは203号室に。
ピンポーン
ドタバタと足音が聞こえて、数秒後。
金髪に眼鏡をかけた男性が出てきた。
その金髪は地毛なのか否や…
いや、そんなことはどうでもいい。
聞いたところで…って感じだけど、一応聞いてみた。
これでいなかったら、無駄足になっちゃうし。
…ん?頑張るってなにを?
そんな疑問も、103号室の呼び鈴を押した頃には忘れていた。
朝早くということもあってなかなか出てこない。
さっきの、高橋さん…だっけ?
いるって言ってたけど…
少し経って、いかにも今さっき起きましたと言わんばかりの髪型の男性が出てきた。
せっかく、良い顔してるのに…なんだかもったいない。
な、なんか反応が…薄い?
ま、まぁ寝起きだし仕方ないか?
すぐに受け取ると、ドアを閉めようとした。
あ!ちょっと、まだ名前聞いてない!
他にもなんか言ってた気がするけど、声が小さく、滑舌もあまりよろしくないため、聞き取れなかった。
適当な紙を出して、部屋と名前を書きながら、顔を思い出す。
102号室がパンダパーカーの中川さん…
103号室が…金髪の高橋さん。
201号室…あのちょっと怖そうな東雲さん。
202号室は背の高い赤羽さん。
203号室が…なに言ってるか分かりづらい入間さんか。
とりあえずは顔と名前を一致させるところから始めよう。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!