お父様は、まだ来ないの!?
みんなの体力が限界に近い…
これからが本線なのに💧
そういうと、神君は
とぐろを巻くようにして
星穹列車組と符玄殿を囲んだ
私は、ポケットから小さな瓶を取り出し
それを懐に入れていたナイフに付ける
足に雷を纏わせ敵に向かって飛び出した
将軍の視線の先では
体が少しずつ塵となって消えかけている
大量のレギオンと
その中でも他より一段とデカいレギオンに
背を預け座り込んでいる太医…景嵐の姿があった
将軍は、私の前に跪くと
優しい手つきで頭を撫でてくれた
父の優しい声を聞きながら意識を手放した…
「……景嵐……」
この優しい声は…
忘れるはずがない…
大好きな人の声…
ずっと…もう一度だけでいい…
ずっと、聞きたかった声…
ことには、昔と変わらない
優しい笑顔を向ける母の姿があった
姿を目視した瞬間、迷いなく母へと抱きついた
これまでを話した…
私の思うお母様の心残りのことも…
一人で生きようとしたことも…
今の私の夢も…
そういってお母様は
私を抱きしめながら
私の腰にあったお父様の
剣の柄に手を乗せた
笑顔で、お母様に挨拶して
私は、走り出した…
その先にはこちらへ背を向ける
お父様の姿が見える
もうすぐ、この場所から抜ける…
もう…お母様には会えない…
その時…微かに後ろから聞こえた気がする
「行ってらっしゃい」
その言葉を背に…私は、お父様の元へ走った
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!