ピコンッ
グイッ
コトン
もう夕方やな~
なんて話をしていると
テーブルの上にいちごパフェとブラックコーヒーが置かれる。
ゴクッ
何かを飲む音が聞こえる
…頭が少し痛くなった
=͟͟͞͞ (@˙ н˙)パクッ
(。・н・。)パクッ
甘い味が広がる。
いつかの季節のような
甘い味が。
………?
いつかの季節…?
甘い味…?
ズキッ
『子供っぽいよねwww』
…?
誰の声なの…?
ぱくぱくと食べ進める。
甘くて時に酸っぱくて。
色んな味があって、色んな色があって。
夕日に照らされて
輝くいちごたち。
ぱくぱく食べ進める俺を見て
ジェルが微笑む。
その顔はまるで天使のようで。
食べることに夢中になっていたので、突然のさとちゃん呼びにびっくりする。
彼がふわっと笑っている。
彼が俺の口に着いたクリームをを指で拭う。
指に付いたクリームをぺろっと舐める。
距離が近くて。
下を向いてしまった。
普通ならなんとも思わない仕草。
ブラックコーヒーを飲む彼が大人に見えて。
まだ高校生なのに。
同い年なのに。
俯く俺を覗き込んで、またふわっと笑う彼に
またキュンとしてしまって。
顔が赤い。
全身が熱い。
彼がかっこよく見えるのも、自分の顔が熱いのも。
全て夕焼けのせいにしたかった。
テクテク‥
ぼーっとしていた。
眠い。
と言うより痛い。
頭が。
思い出せそう…なのに…思い出せない。
なんだろう。このもどかしさは。
それからいろいろ話をして、そろそろ家に着く頃だった。
トラブルが起きたのは…
サッ
視界がくらむ。
体が倒れる。
足元には…紫の………なにか。
俺を支えようとして、ジェルも倒れる。
ドサッ
頭を打ってしまった…
痛い…
不意に思い出すこの感覚
ジェルが前に立つ。
手を差し伸べる。
夕日のせいで、ジェルの顔が暗くて。
いつかの記憶と
一致してしまって。
言葉にならない声が出る。
記憶の欠片がでてきた。
倒れ込む俺。
1人の女の子。
手を差し伸べているように見える
が、
刃先のようなものが見えた
差し伸べられた手は取らずに立つ。
ジェルが一瞬おどろく。
が、すぐに笑顔に戻る。
猫がいた。
紫色の。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!