お客さんが出て行った背ににそう声をかけた。
店の奥からじぃじがお盆を持って出てくる。
お盆には紅茶とシフォンケーキがあった。
ここは時計屋『ChroNos』。
主に時計を売っているが、ごく僅か鏡やちょっとしたアクセサリーも売っている。それに、ちょっとしたご依頼を受けることも。
一応、ぼくのじぃじが運営しているけど……最近は歳の所為か、長時間動くことができなくなってきたらしく、僕が手伝っている。じぃじが言うには僕にChroNosを受け継いで欲しいんだとか。
例の件、それは家業に関わること。
なんでも上の人が騒いでるとのことで、まあ要は巻き込まれである。
そう言いながら視線を彷徨わさるじぃじ。
一体どうしたと言うのだろうか?
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!