帰宅して、宿題して、ご飯食べて、お風呂入って、歯を磨いて……
いつも通りのことをいつも通りやる。
ピロンッ
そのいつも通りを壊して、私の時間を奪う音。
今日の昼間にも更新されてたはずなのに(十四話参照)
一度心を落ち着かせてから、自分の部屋のベッドに横になる。
そして、液晶画面をタップした。
◯月◯日
今日もあの子は僕と話してくれた。僕の言葉を聞きながらいろんな顔をするあの子は本当にかわいいと思う。
あーでも。最近学校で色々起きてるからあんまり元気ではなさそうだったなぁー。まあ、全部僕がやったんだけど。自分の思い通りに人が動いて、自分の好きな子が思い通りになる。
…‥なんて、素晴らしいんだろう。
もっと早く実行すればよかった。
でも今日、立ち直ったって言ってたんだよなぁ。僕がいるんだから僕にだけ話してくれればいいのに、ね。僕以外にも笑顔で話しているあの子を見ると、気が狂いそう。
やっぱり例の計画を実行する時も近いかな。
ふふふ、気づいたらどんな顔するんだろう?
サプライズだし秘密にしとこうっと!
反応が楽しみだなぁ!!
きっと驚いて目を見開いて、それから…
あーあ。なんであんなにも愛おしいんだろう。
明日も話すのが楽しみだなぁ。
あなた、大好き。
今までとは明らかに違う内容。
これは……
まるで日記の形式で書いたラブレターみたいだ。
大好きだとか可愛いだとか…
誰かに好かれたことなかったから普通はここでときめいたりできるところなんだろう。
なんだろうけど………
困惑しすぎて正直頭が回らない。
あなたっていうのは、明らかに私のことだよね。
あなたって子私の学校にはいたけど字が違うし…
つまりあの子っていうのも私のこと。
「立ち直ったって言ってたんだよなぁ」って…
『あー、大丈夫だよー、もう立ち直ったし!』
帰る前に、前川くんに話しかけられた時のあれのことだよね…?
周りに人がいなかった訳じゃない。下校時間の廊下だったから、それなりに人もいた……
だから前川くんしか聞いてないってわけじゃないんだけど…
「前川さん…怪しいと思う」
ま、まさか…本当に?
本当に前川くんなの?
だとしたら……なんで、こんなこと…
いや、それよりも。
目を見開いて驚くようなこと……
想像もつかないな…
………よし、決めた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。