前の話
一覧へ
次の話

第6話

3話「私の日常」
178
2024/05/14 10:52
 
あなたのナマエside
??『貴方には…優しい子で、いてほし…いのよ』
??『だからお願い。ここ、から…早く逃、げてあなたのナマエ』
 
 
セル・ウォー「あなたのナマエ様、大丈夫ですか?」
セルの焦りを含んだ声が頭上から聞こえ柔らかく体を揺すられた
閉じていた瞼を貫いて光が差し込み、眩しくて目を開けた
あなたのナマエ「セル…?」
セル・ウォー「大丈夫ですか。うなされていましたよ」
広がる視界。ふと、セルを見ると良かったというような表情をして
女性にしては低く男性にしては高すぎる声が私の耳に心地よく響いた
あなたのナマエ「ごめんね。なんでもないの。おはようセル」
セル・ウォー「はい。おはようございます、あなたのナマエ様」
魘されていた理由が理由なので、はぐらかすようにセルに挨拶をすると
優しく微笑みながら返事を返し用意したであろう着替えと食事を出した
あなたのナマエ「……セルちゃんと寝れてる?忙しいのにいつもありがとう」
セル・ウォー「心配はいりませんよ。これも務めですので」
なんて言いながらカップに紅茶をテキパキと注ぐセル。彼はお父様の
部下で私のお世話係として毎朝、こうして起こしに来てくれる。
セル・ウォー「あなたのナマエ様。本日の薬です。」
あなたのナマエ「分かった。ありがとうセル。もう下がって大丈夫よ」
セル・ウォー「……はい。失礼します」
ベットの上に座ったまま、ゆっくりと食事をする私の横にはいつもの薬
エピデム兄様が作る薬はプリンの味が濃いけど仕方なくそれを飲む
あなたのナマエ「……っ!あ゛ぁ゛、」
やっぱり何回飲んでも刺激は慣れない。内側から焼けるような痛みが
私を襲う。毒の調合で慣れてるじゃない。頑張って耐えるのよ。私
 
 
あなたのナマエ「フーッ……」
薬の副作用が落ち着きセルが持ってきてくれた服に着替え花を見ようと
思ったけれど、私の足に繋がれている装置のせいで行けず断念した
この世に生まれ私がお父様から与えられたものは兄様たちより少ない
パーツとして作られたのにお父様の望むものを私は持っていなかった
心臓の強さも腕力も上背も何もかもお父様の理想に届かず落胆したが
魔力量と膨大な知識量だけはお兄様たちよりあるらしい。
イノセント・ゼロ『あなたのナマエ、これからはその魔力と知識を私に捧げろ』
イノセント・ゼロ『それがお前の存在意義だ。分かってくれるかい?』
あなたのナマエ『はい、お父様』
お父様は私の頭を撫でて初めて命令した。微かな愛情を与えてくれた
逆にお父様にそう言われていつ始めたかは覚えてない。私の魔力では
大事保管されている5つの心臓とマゴル城の結界強化に使われている
あなたのナマエ「今日は一段と吸い取る量が多いのね」
軽口を叩きながら私は今日も息をしている。もう慣れてしまったけど
お父様の計画が完成したら私に待っているのは普通の女の子の生活
 
縛り付けられず色んなところに行って美味しいものを食べて
可愛い洋服を着て褒められ家族やお友達と楽しく過ごす。そんな世界を
 
ドミナ『姉様のために頑張るよ。だから待ってて』
あなたのナマエ『分かった。じゃあ待ってるね』
私は、密かにずっと待っているの。だからお互い頑張ろうね。ドミナ
 

プリ小説オーディオドラマ