ミコトは恐る恐る木箱を開けた。
中には.....!!
木箱の中は「無」だった。
いつの間にか光柱も消えていた。
ミコトは右手を下げ、左手を鞘、右手を柄に置く
イメージで空をかいた。
流石はミコト、こんな抽象的なヒントにも
不思議がらず、もう行動に出ています!
光の粒が空中に飛んで、
その粒が左手と右手に集まり始めた。
粒は次第に鞘と刀身の形をとり始めた。
光り輝いていた粒は、どんどん金属や、木材の材質に近しいものになっていった。
鞘は鉛色をしており、柄は黒色で統一されている
特に華美といった感じは見られなかった。
唯一ある特徴としては、
刀身に焼き入れがされており。
「コメントを入れてください」
と焼いてあるだけだった。
ミコトは目を輝かせていた。
ミコトは刀身の「コメントを入れてください」
が気になっていた。
いやぁ、ミコトさんもメッチャ楽しそうですね!
まぁ、ネーミングが厨二ぽくならないか
心配ですね...
お!中々ですわね...
でもミコトさんならもっと
「ダークメア」とか、「○○の太刀」
とかやると思ってましたよ...
ダリアは嬉しそうに言った。
ダリアは指をパチンッと鳴らすと、
ミコトと同じ背丈ほどの藁人形が
突如として現れた。
何故、人型でやらせるのでしょうか...?
まぁ、いいです...ファンタジーですもの...
ミコトは深呼吸をして、刀の柄を掴んだ。
今度は刀を鞘から引き抜き、
「宵断」といつの間にか焼き入れられた刀を
上に向けて両手で持ち、
右上から左下へ抜けるように刀を振るった。
刀はスルッと藁人形の肩から脇腹へ抜けた。
一切、突っかからず、
空を切るように刀には抵抗が無かった。
藁人形は確かに刀を通したハズでありながら、
その場で静止して、切った跡も無かった。
ダリアはそのまま藁人形に触れた。
藁人形は、今切られたようにドサッと
地面に落ちた。
ダリアは驚愕している自分を落ち着かせ
ミコトに言った。
ミコトは犬を撫でるように鞘をさすった。
ダリアを先頭にミコトは街へ、と歩を進めた。
この2日後、この世界の新聞の一面に
とある事件が載った。
『ノーマリア山が巨人に切られたように
右上から左下へ抜けるような切り口で
山崩れをおこした。』
という事件だった。
ノーマリア山というのは、
ミコトが藁人形を試し斬りする時に
向こう側にあった山であった。
自然的な山崩れなのか...
それとも....
次回!「平和『過ぎる』街」
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。