朝9時
昨日よりも遅い時間に、メンバーは集まった。
理由は明確で、単純に疲れが溜まっていたからだ。
メンバーを自分たちの手で追放して、
襲撃する。
そんなの、役職問わず精神が削られるに決まっている。
続々と部屋から出てくるメンバーの顔ぶれを見て、
じゃぱぱは思わず声を上げた。
「全員」とは昨日の追放以降の人数だが、
その時点で残っていた9名が揃っている。
それはすなわち、昨夜の襲撃がなかったことを
表していた。
それがわかった瞬間に、メンバーの表情が少しだけ
緩んだ。
その中にはもちろん騎士もいて、
昨夜自分がした選択を後悔することがなくて
よかったと安堵の表情を浮かべている。
騎士がまだ生きていること。
読みが当たったこと。
ゆあんがまだ生きていること。
それらすべてが、メンバーの自信に繋がった。
村人陣営が勝てば元の生活に戻れる。
その未来がすぐそこに来ている気がした。
ヒロがポツリと呟いた。
元の生活に戻れるという未来は
すぐそこだと思っていたのもつかの間。
村人陣営はいつの間にか追い詰められていた。
るなが俯いたまま言った。
膝の上に置かれた手は、かすかに震えている。
ほんの少し、その場に緊張が走った。
じゃぱぱがゆっくりと顔を上げて、
言った。
じゃぱぱがえとの顔をそっと見た。
瞳は少し揺れている。
メンバーを疑う目だ。
全員の視線が、えとに集まった。
本人は必死に否定する。
どぬくがえとへの視線を断ち切り、自分に集めた。
どぬくとるなを交互に見るメンバー。
動揺を隠しきれていない。
どぬくの目は全く曇っていなかった。
2人の間にある大きな違いは、
霊媒結果だけではない。
ゆあんに人狼ではないと言われているかどうかだ。
2人の間を行ったり来たりしていた7人分の視線は、
どぬくも含めて8人分、るなに向けられた。
るなの必死の叫びは、
メンバーの心に響くことはなかった。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。