第26話

あなたの誕生日
931
2019/04/26 06:31
今日は10月30日



エイジの誕生日



今年はバイトして貯めたお金で、
エイジに似合いそうな時計を買った



去年は赤色のネクタイ



いつか会った時にまとめて渡すの



高校生のバイト代だからちょっと安いかもしれないけど、
使わなかったら許さないんだから



私とエイジ、2つのケーキを買って家に帰った




「どうしたの、そのケーキ」

「お父さんに買ってきてくれたのか?」




お父さんとお母さんは私の手に持っていたケーキを見てそう聞く




「今日は2人のケーキはなし!
10月30日は、私の彼氏の誕生日なの」




私がそう言ってにこっと笑うと、
2人は黙って笑い返してくれた



何も言わないでくれる方が助かる



一緒に祝えない誕生日なんてつまんない




「お誕生日おめでとう、エイジ」




LINEでそう送る



あの日から私とエイジの間だけ時間が止まってしまったように



LINEには既読がつかないまま



自分の部屋に入って、
ケーキを2つ取り出してパクッと食べる



ケーキの味と一緒に、
少ししょっぱい涙の味がした

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