第3話

天から賜りし才能
305
2023/07/23 00:21












私が10歳の時の春。








宗介そうすけ
…それにしても、あなたは本当に歌が好きだなあ。
いと
そうねえ。私もびっくりしたわ。
まさか歌いながら自主稽古してるなんて。






バシッ   バシッ  (木刀で打ち込む音)



(なまえ)
あなた
〜♪〜〜♫〜♩〜〜♬♪♪




  バシッ    バシッ





宗介そうすけ
本人いわく、歌いながらだと周りを気にせずに稽古に打ち込めるんだそうだ。
いと
さすがあなたね。まだあんなに小さいのに、自分だけの集中のしかたをあみだしてる。




















…色々推測してくれてるみたいだけど、、、






単に私が歌いたいから歌ってるだけなんだよね。





(なまえ)
あなた
春の〜うらーらーの〜隅田川〜♪
やっぱり春といえばこの曲だよね!






















両親side



(なまえ)
あなた
かーいのっ(バシッ)しずーくもっ(バシッ)はなーと ちーる〜(バシッ)♪




いと
なんだか、歌いながらだとあの子の動きも軽やかね。
宗介そうすけ
歌に合わせて木刀を振ってるようだ。音の隙間を狙って打ち込んでる。




いと
それに、あなたの太刀筋はなんだか独特じゃない?まっすぐじゃなくて、うねりがあるというか。
宗介そうすけ
本来剣道においてそれはダメなんだけどなあ。矯正した方がいいだろうか。
いと
別にいいじゃない。もし直すなら体の動きまで変えなきゃダメよ。ほら見て。とっても柔軟な体の使い方をしてる。
宗介そうすけ
あの様子じゃ宙返りしながらでも打ち込めそうだな…












あなたが生徒達と打ち合いを始めた。




あまりにあなたが強いため、他の生徒達には、「あなたに勝てたら道場卒業」と言っているのだが……






宗介そうすけ
(…あの様子じゃ、しばらくかかりそうだな。)


生徒がいつも通りボコボコにされているのを見て苦笑する。











(なまえ)
あなた
面っ!!
カーンッッ!!!







生徒「うわぁっ…」




いと
わあ…あの子は、あんなに力強い振りもできるのね。
宗介そうすけ
そうだろう?俺も一太刀浴びて驚いたんだ。…うん、技術もそうだが、心も強くなってきたな。


そう…試合の時、彼女は誰よりも燃えている。
情熱が人一倍だ。



振り下ろされるのを受け止める衝撃は、滝に打たれているかのごとく力強い。




木刀から風が起こるほどに速さもどんどん増す。




何より、あなたの動きは見切るのが難しい。複雑な緩急があるからだ。






宗介そうすけ
(あなたは…いずれ俺を超える。天性の才能だ。)
















(なまえ)
あなた
今日も私の勝ちー!
生徒「くっそぅ、明日こそお前から一本とってやるからな!」
(なまえ)
あなた
頑張れぇ。



宗介そうすけ
あなた。
(なまえ)
あなた
あ、父様〜!
宗介そうすけ
今日の動きも良かったぞ。
(なまえ)
あなた
わーい!
いと
それじゃ、片付けてお夕飯にしましょうか。
(なまえ)
あなた
お腹すいたぁ!











私たちの大事な大事な愛娘。














どうか、この世に潜む恐ろしい災いに気付かぬまま…大人になってくれたら…




















♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪
本日の転生録〜!
今日は母様も稽古を見に来てくれたから、いつもより張り切っちゃった!
歌も上手だったよって言ってくれてなんだか嬉しい!明日は何を歌おっかな〜

呼吸法もだいぶ身についてきた気がするけど、この呼吸、するだけでも結構大変なんだよね…あと変な呼吸音だからちょっと不安かも。

だってだって、普通の呼吸じゃ音しないよね?しないよね?父様どういうことーーー!!!

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