テーブルに何台も置かれたパソコンを操作しながら、シリウスが男性に視線をむける。
――今夜、私はついに「ＤｏＴ」メンバーと顔合わせをすることになった。
まじまじと見つめていると、かすかな記憶がよぎる。
アルタイルが飛ばしたウインクの星を、シリウスが手で払う。
私は肩をすくめると、ＰＣに向かっていたシリウスの肩にヒジを乗せる。
シリウスはパソコンをいじっていた手を止め、私の口をふさぐ。
口をふさがれているので、私は指でＯＫマークを作る。
シリウスは私の手首を引き寄せると、おもむろに窓を開けた。
闇にまぎれるように太いワイヤーが、窓辺から遠くのビルへ繋がっている。
シリウスは特殊な器具をワイヤーにつけると、私を抱きかかえて――飛び降りた。
屋上に降り立った私はシリウスの手を引くと、そのまま建物のフチを歩き始める。
両手を広げ、建物のフチを歩き始める私の手を、シリウスが引き寄せる。
手を繋いだまま笑えば、シリウスはじっとりと私をにらむ――が。
ふいに、視線をパリの夜景にむけた。
宝石箱をひっくり返したように、たくさんの光がパリの夜を輝かせている。
私は笑いながら、後ろからシリウスにもたれかかる。
思わぬ言葉に、いつものように軽口が出てこない。
照れた顔を隠すように歩き始めたシリウスと私の手は、なおも繋がれていたのだった――。
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