↑ 2話
かれこれ話し始めてから10分は経っているようだ。
ずっと話しているからか、相手も敬語が外れたようだ。話していると言っても、俺は適当に相槌を打ってるだけだがな。
いきなり違う話題を振ってきた。さっきまでは自己紹介だったり学校生活への不安とかどうでもいい話題ばかりだったけれど、俺への偏見を言ってきた。
目の前で悪口を言われたようだった。
にやにやしながら言うものだから、少しだけ、ほんの少しだけ腹が立った。
それに、にやにやしていても顔がいいから半分八つ当たりだな。
目を細めて笑うあなたの相手の男の名前。イケメンに笑顔は凶器だろ……。
前髪がちょっと長いからといって全部が全部同じような陰キャばかりではないからな。陰キャにも種類があるんだよ。
……っあ、やべ、そろそろだ。
戻るという言葉に反応したのか、あなたの相手の男の名前は驚いた顔をする。
なんて茶化してくる。
でも、ひとつ訂正をしておこう。
「サボり」とは人聞きが悪い。だから、「休んでいる」ということにしておく。言い訳をするとあなたの相手の男の名前は吹き出す。
この言い訳を信じてくれていないようだがまあいいだろう。
あなたの相手の男の名前は少し考えるような素振りをしてから、こう言った。
話していたかっただなんて、顔が良くてスタイルが良くてさわやかで顔がいい(二回目)のに加えて人たらしなのか。これはモテるな。
うんざりとした顔を向けると慌てたように、
転校初日じゃなかったら普通にサボるのか?まさかこいつも常習犯か……?
危ない、サボってると言いそうになった。あなたの相手の男の名前がちょっと笑っているのは気づいていない振りをする。
俺たちは立ち上がって一緒に教室に戻ることにした。
あなたの相手の男の名前もトイレに行くということにしてここに来たらしい。だから、たまたま会ったということにして、一緒に教室に入る。
作戦は完璧。あとはいい感じに言い訳を作るだけ!
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。