花火がある駅に到着した。
着々と時間が過ぎていく。
もう少しだけ、もう少しだけゆっくり進んで勇気が足りないから。
花火がはじまるまで時間はある。
だけど、短く感じる。
あたし達は屋台を見に行った。
え?ハモった。
いや、そこじゃない
思考が2人とも止まっていた。
りんご飴を食べようとして、買おうとしたところにすっと現れた2人の影
しょうまくんはあたしの手を取り、りんご飴を1つ握らされた。
しょうまくんに握られた手が熱くなる。
4人はカリカリりんご飴を食べながら歩いた。
4人で歩いていた。
そろそろ花火も始まってしまう。
待って!もう少しだけ...
ヒュ〜...パーン!
花火がはじまってしまった。
次々と上がる花火にだんだんと勇気がなくなってきた。
どうしよう。
言えない。
どうしよう。
二人っきりになってしまった
しょうまくんが先に歩く。
自動販売機があるのは階段を降りたところにある。
なのに階段を降りなかった
どうしよう。
今しかない。
伝えなきゃ。
今日しかチャンスがない
そう思っていたら口が勝手に動き言葉を発した
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!