no side
時間はあなたの菖蒲を家に居候させる約束をした日に遡る
香澄はあなたの菖蒲の部屋の用意を終えた後組員と談笑していた
そうして香澄は事情を話した
あなたの菖蒲が名家の私生児であること
実母が死んで引き取られるも本妻とその娘、使用人達にいびられて冷遇されて育ったこと
異母姉にありもしない悪評を流されて友人が自分しかいなかったこと
高校を卒業してからはバイトで食い繋いでいたこと
異母姉に実母の形見を侮辱された挙句壊されてそれに腹を立てて手を上げて理不尽に叱責されて家を追い出されたこと
家の嫌がらせで根回しされていてとんでもないボロアパートしか契約できなかったこと
それを聞いた組員達は呆れるしかなかった
話が聞こえた組員達は少し話を聞いていた
まあ、香澄もそれが狙いで人通りの多い廊下で話をしているのだが
香澄の顔から笑顔が消え失せ組員達の顔が強張る
香澄の顔から笑顔が消え失せるのは何か真剣な話をする時だ
黒い微笑みを浮かべ香澄はそう言った
香澄は不気味なほどに美しい微笑みを浮かべそう言った
香澄の言葉はあなたの菖蒲への裏切りはともかく、國木田家などに組の情報を渡すなどして天羽組を裏切るような真似をすれば待っているのは凄惨な死だけだと語っていた
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!