第9話

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2024/05/13 23:00
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驚いた表情の降谷に冷たい眼差しを向けながら言葉を続ける




松田あなた
心当たり、勿論あるよね


昨晩、陣平を殴ったのはなんで?アイツが何かした?



降谷零
降谷零
は?





松田あなた
陣平が言ってた。降谷とやり合ったって


私の片割れに手出したみたいだから、身内として仇取りに来たの
降谷零
降谷零
ちょっと待て誤解だ。確かに僕はアイツとやり合ったが、先に手を出したのはアイツだ
松田あなた
陣平は降谷が先にって言ってたけど?



降谷零
降谷零
アイツが、僕が気に入らないからと喧嘩を吹っかけてきたんだ




松田あなた
陣平の拳を受けてその程度の怪我で済む筈ないでしょ


陣平はお父さんからボクシングを習ってたんだから


第一、不意打ちじゃなきゃ陣平があんな怪我する訳ない





降谷零
降谷零
……お前ブラコンだろ
松田あなた
…………はぁ?!





コイツ……!と完全に頭に血が上り、なりふり構わず拳を振るう





……が、先程と同じように容易く掴まれてしまった



それに動揺してる隙にもう片方の腕も掴まれて後ろの壁に両腕を縫い付けられる





松田あなた
……ッ!
降谷零
降谷零
少しは僕の話に耳を傾けろ!


ずいっと顔を近づけられた事で、漸く冷静さを取り戻す




松田あなた
………陣平がホントに仕掛けたの






降谷零
降谷零
だからさっきからそう言っているだろ

仇討ちだかなんだか知らないが、君もアイツももっと冷静になれ


降谷にそう言われ、不服だが心からその通りだと思った



私達の弱点はいつだって同じ



冷静さに欠けている



頭に血が上ると視界が狭まり、気付いた時には手が出ている



思い返してみれば、陣平は何やら降谷を睨んでいたし陣平自身、警察官なんてクソ喰らえ精神だから降谷みたいな真面目くんを気に食わなかったのかもしれない




松田あなた
ごめん…確かに私の行動は冷静さに欠けていた



降谷零
降谷零
いや  分かってくれたのならそれで良い



松田あなた
………陣平の事も、ごめん


_______陣平は警察が嫌いだから





降谷零
降谷零
……?それってどういう…




諸伏景光
諸伏景光
ゼロ!此処に居たのか!



降谷零
降谷零
ヒロ…?




諸伏景光
諸伏景光
そろそろ時間だ!早くしないと点呼に間に合わないぞ



ってあれ?あなたも一緒だったのか?と降谷を探していたのであろうヒロくんは私もいた事にとても驚いた様子だった




松田あなた
…降谷  今日の事は今度お詫びする




くれぐれも他言無用でお願い





特に陣平には_____




それだけ言い残して、私は降谷とヒロくんの間を通り抜けた

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