第9話

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2024/05/12 04:03
太宰が居なくなってから、中也は八年物のペトリュスを開けた。


多分、中也は嬉しかったんだと思う。


中也を待ちながら、そんな事を思い出していた。
中原中也
待たせてごめんな、あなたの下の名前。
あなた
いいよいいよ。
お疲れ様、中也。
中原中也
鏡花が太宰を捕まえる事に成功したらしい。
で、今は地下__拷問部屋に繋がれてる。
俺は太宰と最悪の再会をしてくるが.....あなたの下の名前はどうする?
あなた
んー.....
あなた
じゃあ顔だけ見ていこうかな。
もう見ること無いかもしれないし。
中原中也
そうだな。
じゃあ、行くか。

カツン、カツンと階段を降りる。


地下にその部屋はあるので、音がとても響いていた。
中也が口を開く。
中原中也
相変わらずの悪巧みかァ?
太宰治
その声は.....!!
中原中也
こりゃ最高の眺めだ、百億の名画にも勝るぜ。
なあ、太宰?
太宰治
最悪。うわ、最悪。
中原中也
いい反応してくれンじゃねェか。
縊り殺したくなる。
中原中也
今日はな、俺だけじゃねえ。
お前の元幹部補佐__あなたの下の名前もいる。
あなた
......久しぶり、太宰。
太宰治
あなたの下の名前、中也。
太宰治
何年振り?
あなた
四年振りだよ。
.....ごめん中也、私はもう此処から出るね。
最後に太宰の顔も見れたし。
太宰治
待って、あなたの下の名前。
久しぶりの再会に、其れは薄情じゃあ無いかい?
太宰治
私は今から死ぬかもしれないのにっ....!
あなた
変わったね、太宰。

太宰は知らない。


私と中也が此処まで頑張ってきたことも。


私達は、裏切った理由さえも聞かされてないと云うのに、何か話す事なんてあるだろうか?
あなた
太宰、私と何か話す事があるの?
太宰治
世間話でも、何でもいいさ。
あなた
.....私、幹部補佐で忙しいから。
じゃあ、生きてたらまた会おうね。

カツン、カツン、と靴の音を響かせながらあなたの下の名前は部屋を出ていった。

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