いつものようにお風呂に入る。
なるべく鏡を見ないように。
最低限のことだけで済ます。
終わったらかえでから多分LINEが来ているからそれを返さなきゃいけない。
なんで学校以外でも友達付き合いをしなきゃいけないのだろうか。
寝る時間だ。
最近布団でよく考えていることがある。
りゅうに性別のことを言おうか迷っているのだ。
りゅうとは幼なじみだ。そして唯一自分の素を出すことができる人だ。
だけど、りゅうは僕のことはボクっ娘だと思っており、女の子として接してくる。
それをどうにかしたいのだ。
言ったらりゅうは僕から離れていくかもしれない。
けれどお互いいろんな相談をしてきて、それが原因で仲が悪くなったことは一度もない。
言うべきなのか、それとも言わないべきなのか。
...とりあえず言ってみようかな。
ずっとこれについて考えているのも疲れるし。
言わなかったらモヤモヤする気がする。
言ったらたとえりゅうが僕から離れて行ったとしてもすっきりはするだろう。
急だけど明日言おうかな。
...そうしよう。
下校時間がやってきた。
奇跡的に今日はかえでが休みだった。
風邪をひいたらしい。
りゅうとは部活が同じだから、帰りに言えばいいか。
緊張するな...
話しかけてきた!?
話さなきゃ。
テクテクテク
.........
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!