第54話

53、 人を殺して死ねよとて(3)
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2024/03/25 06:00
静寂だった電車内に、突如響いたアナウンス。
甲高い声色から、声の主が狂っているのは
容易に想像できる。
???
『あーテステス。此方車掌室。』
???
『誠に勝手ながら、此れから…』










???
『”物理学実験”を行いまァす!』
あなた
…!?
中島敦
…!!
与謝野晶子
…!
???
『題目は、”非慣性系における
 爆轟反応及び官能評価”。』
???
『被験者はお乗りの皆様!
ご協力、まぁことに感謝ァ!』
???
『では早速ですがァ、之をお聞き下さい。』
急に声のトーンが下がり不審に思うのもつかの間。
爆発音が鳴り響き、大きく揺れる。

車内は乗客たちの悲鳴とざわめきで埋め尽くされる。
???
『今ので2,3人死ンじゃったかな?』
???
『でも次はこんなもンじゃありませェん』
???
『皆様が月まで飛べる爆弾が先頭、最後尾の
 車両に仕掛けられておりまァす!』

???
『さてさて被験者の敦くん。』
中島敦
…!!
???
『君が首を差し出さないと、乗客全員
 月どころか天国へ逝っちゃうぞー。』
中島敦
そんな…
あなた
成程…
与謝野晶子
云った傍からお出ましって訳だ。
与謝野さんは3つの選択肢を出す。

此の儘大人しく死ぬか。
乗客全員と飛び降りるか。
中島敦
敵をぶっ飛ばすか…
与謝野晶子
上等だ、何しろ妾らは
武装探偵社だからねェ。
与謝野晶子
さて二人とも、手分けして爆弾を探すよ。
与謝野晶子
妾は前方、敦は後方。
あなたは状況を見て加勢だ。
あなた
もしも敵が居たら?
与謝野晶子
ぶっ殺せ!
与謝野さんは口角を少し上げる。
私もニヤリと微笑んで云った。
あなた
了解、!
中島敦
…了解!
与謝野side

一般人も乗ってる白昼の列車に自爆紛いの脅迫。
ポートマフィアの謀にしてもえらい覚悟…
否、執着だね。

一体どんな奴が___
一つ前の車両に足を踏み込むと、
足元に転がってきた之は…檸檬?
与謝野晶子
…!!
瞬間目に映った強烈な閃光。
鼓膜が破れそうな程の激しい爆発音。

…爆弾だったか。
車内は真っ黒焦げで硝子が散乱している。
心地悪い臭いが乗った煙の中で、
一人その場に倒れていた。
???
果断なる探偵社のご婦人よ、ようこそ。
???
そして、さよーならー。
痛みに耐えつつも、ゆっくりと立ち上がる。
与謝野晶子
おやおや、誰かと思えば
有名人じゃないかァ。
梶井基次郎
ほう、生きてた?驚いた、
最近の女性はタフだなァ。
そう云って此方を見つめる男は梶井基次郎。
ポートマフィアの構成員だ。
与謝野晶子
男女同権の世だからねェ、妾から
すりゃアンタみたいな指名手配犯が
此処に居る方が驚きだよ。
与謝野晶子
梶井基次郎…隠密主義のポートマフィアの
中にあって、珍しく名の知れた爆弾魔。
与謝野晶子
先日の丸善ビル爆破事件は
一般人を28人殺している。
梶井基次郎
アレは素晴らしかったよ!
梶井基次郎
拍動の低下、神経細胞の酸欠死、
乳酸アシドーシス…
梶井基次郎
死とは無数の状態変化の複合音楽だ!
梶井基次郎
そして訪れる不可逆の”死”…嗚呼…。
此奴の発言がどうも気に入らなくて、
一歩近寄って問い掛ける。
与謝野晶子
…死が、実験だって?
梶井基次郎
科学の究極とは”神”と”死”。
梶井基次郎
何方も実在し、しかし科学で
克服できず故に我らを惹きつける。
梶井は檸檬を拾い上げ、怪しげに笑った。
梶井基次郎
さァて、貴女の死は何色かな?
体はボロボロ、額からは血が流れている。
しかし目線は梶井から離さない。
与謝野晶子
確かめてみな……!
長いですがずっと与謝野さん目線…
次回もこんな感じになると思います。
しばらくの間は原作沿い展開が続くと
思いますが、もう少しなのでゆっくり
見守っていてください。

ではまた次回!おつなろ~

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