彼女がそう言うと、お菓子が現れた。
約2日間、蘭ちゃんが言ったことで一つ分かったことがある。
それは、俺が数日間で死ぬこと。
また何かの呪文を言うと、材料が現れた。
連れてこられた時から違和感を感じていたが、これのことだった。
蘭ちゃんが冷たい。
でも、恋心は隠せなかった。
側から見ると自分だけ空回りしているように見えるが、俺はそう見えない。
全て、自分のいいように受け取っている。
材料を混ぜている蘭ちゃんも絵になる。
そういえば、スマホはまだポケットにあったはずだ。
カシャっと写真を撮る
あっ、
蘭ちゃんが口を手で押さえている。
しまったといったように雰囲気が変わった。
小さな願望を口にする。
蘭ちゃんが何かを言ったがそれが何なのかは聞こえなかった。
甘い、クッキーの匂いがする。
サクッ
さっき言った呪文と同じ呪文を唱えた。
カシャンと皿にフォークを置いた。
重要なとこだけカットされたような感じだった。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。