前の話
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初恋の音がした。
ビー玉を落とした時のよう、
終わりの想像ができない、自由で難しい発見。
貴方の視線は一体どこに向けられているのだろう。
まるで海だ。
風向きは変わり続け、
僕はただようばかりの海月。
貴方が変われば、僕も変わってしまう。
忘れられぬ心がけは、
優しさが消えぬ貴方からの声は、
僕だけが覚えている、それだけである。
貴方から見えている僕は、
いつも通りの日常の、気にも留めない数行で。
一瞬の出来事が、
僕の心の数十センチ。
たった数行書き換えるだけで、
味気のない日記が小説になった。
終わった天気は雨。
貴方の笑顔は何時もより少し輝いていた。
結末は知っているはずなのに、
微かに残ってしまう感情。
炭酸が抜けていく、夏の日のラムネ。
飲み終わった瓶のよう、
君はビー玉、
僕は数ミリ余ったラムネのようだった。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。