第32話

さんじゅういち
89
2024/03/12 07:00









廻
あなたの下の名前ピノにしたの〜?
私が1つ目のピノを食べていると、横からひょいっと蜂楽くんが顔をのぞかせた。
(なまえ)
あなた
うん。食べやすいでしょ?
(なまえ)
あなた
(サイズもそうだし、量もそうだし。)
廻
確かに!
廻
美味しいよね、ピノ!
(なまえ)
あなた
……1個いる?
廻
いいの⁉✨
廻
いるいる〜!
目を輝かせた蜂楽くん。

私は箱の中から1つをつまみ、彼の口元へと持っていった。
(なまえ)
あなた
はい。
廻
あー……
廻
ん!
廻
……ありがとー、あなたの下の名前!
そう言って、親指を上に立てた蜂楽くん。
美味しかったらしい。

それは何よりである。
廻
……
廻
ん、はい、お返し!
自分の持つ棒アイスをじっと見た蜂楽くんは、ふと私のほうにそれを差し出してきた。
食べて良いということなのだろうか。
(なまえ)
あなた
……いいの?
廻
うん。俺ももらったし。
良いのだろうか。
食べたいかと言われたら食べたいけど……、と悩んだ後、私は遠慮なくいただくことに決めた。
(なまえ)
あなた
……うん、ありがとう。
(なまえ)
あなた
じゃあもらおうかな。
私は少しだけ口を開けて彼が持つアイスにかじりつく。
(なまえ)
あなた
んー……
口の中に、棒アイス特有のキーンとした冷たさと、パイナップルの味が広がった。
(なまえ)
あなた
つめた、
廻
そー?そんなもんじゃない?
廻
ピノだって冷たいじゃん?
(なまえ)
あなた
それはそうなんだけどさ、棒アイスって普通のアイスよりも冷たく感じない?
廻
ん〜、あんま分かんないや。
廻
……って皆どうしたの?
蜂楽くんがそう言ったことで、私もようやく周りの状態に気づいた。
皆が唖然とした様子でこちらを見ている。
(なまえ)
あなた
あれ、どうしたの?
乙夜
乙夜
まさかの無自覚?
(なまえ)
あなた
烏
その説あるで。
(なまえ)
あなた
??
世一
世一
蜂楽、何してんだよ!
豹馬
豹馬
お前……狙ってやったのか?
廻
え?どうだろうね〜! にゃはっ
私が首を傾げている横では、潔くんと千切くんが蜂楽くんを尋問(?)していた。
氷織
氷織
……あなたの下の名前ちゃん、蜂楽くんと付き合ってたりするん?
(なまえ)
あなた
え?
(なまえ)
あなた
付き合う⁉
(なまえ)
あなた
ないない、付き合ってないよ!
玲央
玲央
今さっき、蜂楽のアイス食べてたよな?
(なまえ)
あなた
え、うん。
(なまえ)
あなた
1個ピノあげたら、お返しっていってくれたの。
誠士郎
誠士郎
食べかけのアイスを?
(なまえ)
あなた
食べか、け……って、
(なまえ)
あなた
……ぁぁあ⁉
私は頭を抱えてしゃがみ込む。閉じたピノの箱を手で持ったまま。
(なまえ)
あなた
(どうしようどうしよう全然全く1ミリも気付いてなかった、え?)
(なまえ)
あなた
(なんで気付かなかった私……)
絶対今顔が赤い。私がうずくまってプルプル震えていると、
氷織
氷織
……あなたの下の名前ちゃん大丈夫?
という羊くんの声が上から聞こえた。
烏
……まぁ、気付いてなかったんやったら仕方ないんちゃう?
(なまえ)
あなた
うぅぅ……。
(なまえ)
あなた
(まぁ、そう言われたらそうなんですけども……!)
(なまえ)
あなた
(……よし。忘れよう。)
そう決めて、私は立ち上がった。多分まだ顔は赤いけれど。
(なまえ)
あなた
(っていうか。)
(なまえ)
あなた
蜂楽くん、ごめんね、
私はそのまま蜂楽くんに謝った。
(なまえ)
あなた
私それ、口つけちゃったよね?
(なまえ)
あなた
新しいの買ってこようか?
気付いていなかったとはいえ、私が口をつけたことには変わらない。
蜂楽くんが嫌だったら私が新しいアイスを買ってこようかと思ったのだけれど、
廻
ん、別にいーよ!
廻
俺も気付いてなかったし、お互い様ね!
(なまえ)
あなた
……そう、かな?
廻
うん。
廻
だからいいよ、このままで。
(なまえ)
あなた
……そう、分かった。
(なまえ)
あなた
ありがとね、蜂楽くん。
廻
大丈夫!
廻
むしろこっちもごめん。
(なまえ)
あなた
んーん、私は全然大丈夫だよ。
(なまえ)
あなた
(うん。大丈夫。何もなかったし、何も起きてない。)
錬介
錬介
つーかそれ、あの2人が知ったらヤバそうだよな。
玲央
玲央
マジで今度こそ蜂楽〆られそう。
(なまえ)
あなた
「あの2人」?
世一
世一
凛と冴だろ?
(なまえ)
あなた
え?
豹馬
豹馬
おう。
(なまえ)
あなた
お兄ちゃんと凛?
(なまえ)
あなた
どういうこと?
玲央
玲央
え、あの2人、あなたの下の名前に過保護じゃん?
(なまえ)
あなた
え、過保護?
(なまえ)
あなた
そうかな?
錬介
錬介
気付いてなかったのか?
(なまえ)
あなた
うん、ってえ?
(なまえ)
あなた
お兄ちゃん達が過保護?
(なまえ)
あなた
えぇぇ……。
(なまえ)
あなた
全然知らなかった……。
誠士郎
誠士郎
まぁあの2人はあなたの下の名前の前じゃある程度普通だからね。
豹馬
豹馬
冴は優しいお兄ちゃん、凛は……なんだろな。
誠士郎
誠士郎
若干執着してる弟とか、?
錬介
錬介
そんな感じじゃないか?
(なまえ)
あなた
えぇ……。
玲央
玲央
あの2人は彼女とか作らなさそうだよな。
(なまえ)
あなた
あ、それはそうだね。
(なまえ)
あなた
2人共かっこいいから、告白とか結構されてるらしいんだけど、絶対断ってる。
(なまえ)
あなた
(私にラブレター渡してほしいって頼みに来る人もいるぐらいだからなぁ……。)
そんな時は、断ることもできずにもらってそのまま渡している。

お兄ちゃんと凛に彼女がいたことはないと思うから、それが実った子もいないんだろうけれど。
(なまえ)
あなた
まぁでも2人共、サッカーしか目に入ってないって感じだからね。
(なまえ)
あなた
せっかくモテるのに勿体ない。
豹馬
豹馬
モテるっつったらあなたの下の名前もじゃないのか?
(なまえ)
あなた
え、
氷織
氷織
あなたの下の名前ちゃん綺麗な顔しとるもんなぁ。
(なまえ)
あなた
いや、
世一
世一
そこは糸師家の血筋なのか?
(なまえ)
あなた
いやまあ確かにお兄ちゃん達はかっこいいけど……。
(なまえ)
あなた
(私はそうでもないんじゃないかな?)
モデルとして仕事をもらえている訳だから、まぁ良い方ではあるのだろうけれど、お兄ちゃん達に勝てるとは思えない。
(なまえ)
あなた
(中の上くらい、かな?)
誠士郎
誠士郎
っていうかあなたの下の名前はなんでいつもマスクしてるの?
豹馬
豹馬
それな。
世一
世一
今日はしてなかったみたいだけど……。
そう聞かれて悩む。

私は実はモデルやってて、ストーカーされたことあるんだ、なんて言えない。モデルをやっている事自体は別に隠していないけれど、わざわざ公表するつもりもないのだ。
(なまえ)
あなた
(それに、ストーカーされたことがあるから、って言うのもね。)
悩んだ末、
(なまえ)
あなた
うーん、
(なまえ)
あなた
あんまり顔出したくないんだよね。
私はそう答えた。
廻
へー。
玲央
玲央
それこそ勿体なくないか?
乙夜
乙夜
メイクとかしてもっと可愛くみせようとか考えないの?
(なまえ)
あなた
それは考えたこともなかったですね。
(なまえ)
あなた
(いろいろ忙しいし。)
乙夜
乙夜
……好きな人とかできたら、変わるかもね〜。
(なまえ)
あなた
……どうでしょう?
(なまえ)
あなた
(今のところそんな余裕なさそうなんだよね〜。)
(なまえ)
あなた
(勉強と、部活と、仕事と、友達と遊びに行くので意外と手一杯かもしれない。)
(なまえ)
あなた
恋愛とか、考えたこともなかったですね。
皆
……
皆
(どういう反応をすればいいんだ、これ……⁉)
謎の沈黙が広がったところで、私は凪くんがこちらをじぃっと見ていることに気付いた。
(なまえ)
あなた
凪くん?
玲央
玲央
?凪、どうしたんだ?
誠士郎
誠士郎
何かあなたの下の名前、俺の好きなモデルに似てる気がするんだよね〜、……。






 ちょっと長め。(2400文字強)
ぬし
ぬし
ちょっと長め。(2400文字強)
ぬし
ぬし
こんな感じでも大丈夫そうですか?

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ぬし
ぬし
基本はいつも通り1000文字程度だと思うんですけど、一応の参考に。
ぬし
ぬし
答えてもらえると嬉しいです。





ぬし
ぬし
余談。
ぬし
ぬし
アイコン変えました。
ぬし
ぬし
だだめーかー様です。




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