第3話

1.日常と変化
19
2024/03/10 09:51
ピピピピッ!ピピピピッ!





カチャ…



柊 要人
柊 要人
…朝か
柊 要人
柊 要人
(憂鬱だ、目眩がする…また、地獄が始まるのか…)
そう思いながら俺は兄から貰った目覚まし時計を止めベットを出た。
柊 要人
柊 要人
(…兄が生きていれば…いくらか心が軽かったのかな…)
兄、柊 湊斗は1年前、死んだ








2023年11月16日___
その日は俺の誕生日だった
一緒に外へ出かけてケーキを持って帰って行くはずだった









柊 湊斗
柊 湊斗
…寒くないか?要人
柊 要人
柊 要人
大丈夫…お兄ちゃんの方が寒そうだけど…
柊 湊斗
柊 湊斗
俺は平気だよ。普段から外へ出ているから
柊 要人
柊 要人
…そっか











こういう何気ない会話が俺にとっては救いだった。どこに行っても独りだった俺を兄は見捨てはしなかった。表立って助けてくれることはそれこそなかったが裏で優しく接してくれて、俺の望むことを叶えようとしてくれて。兄が居てくれて本当に嬉しかった。








___けれど









ミャー
柊 要人
柊 要人
……(…子猫だ。)
タッタッタッタッ
柊 要人
柊 要人
あっちって…交差点だったよな…
柊 湊斗
柊 湊斗
…?要人?どうかしたか?
柊 要人
柊 要人
あっ…いや…別になんでもな___
柊 要人
柊 要人
っ!







子猫が交差点を通っている時に運悪くトラックが走ってきた…。しかもそのトラックの運転手は気づいている様子はなく、子猫が見えていなかった。
柊 湊斗
柊 湊斗
…?要人、本当にどうして…
柊 要人
柊 要人
っ…ダメ…やめて…!
俺は自然と子猫の方へ歩き出していた。
柊 湊斗
柊 湊斗
!要人!そっちは…!___!
兄の声は上手く聞こえず気づけば俺は___
柊 要人
柊 要人
___え?














トラックに轢かれる寸前だった




__でも










バンッ
柊 要人
柊 要人
……へ?
俺は轢かれてなんかなかった…轢かれたのは…











柊 湊斗
柊 湊斗
っ…
兄だった__
柊 要人
柊 要人
…おに…ちゃ…?
柊 湊斗
柊 湊斗
…要人?無事…か?
柊 要人
柊 要人
俺は…大丈夫…だけど…お兄ちゃん…血が…
柊 要人
柊 要人
(このままじゃ…お兄ちゃん…死んじゃうんじゃ…)
柊 湊斗
柊 湊斗
俺は…大丈夫…だよ…?本当に…なんとも…ない、か?
柊 要人
柊 要人
うん…。
柊 湊斗
柊 湊斗
子猫…は?
柊 要人
柊 要人
大丈夫…だよ…
この時俺は目の前がぼやけてて見えなかった…その時はあまり状況を理解出来ずにいたから気づかなかった…俺は…




泣いていた。
柊 湊斗
柊 湊斗
…そんなに、泣くなよ…平気…だって
柊 要人
柊 要人
…でも…
柊 湊斗
柊 湊斗
あ〜…はいはい……言い訳は、いいから…泣き、止めよ…俺に…似た顔……台無し、だぞ
柊 要人
柊 要人
……似てなんか…ない…
きっと俺の顔は涙でぐしゃぐしゃだっただろう。それに、兄になんか似てない。俺は…兄みたいに綺麗な顔では無い。一重なせいか睨まれてると勘違いされ、輪郭も丸っこくて兄みたいに綺麗では無い。お世辞にも、かっこいいなんて言われる顔ではなかった。でもそんなの…今じゃどうでもいい__
柊 要人
柊 要人
誰か…誰か救急車呼んでください!
ザワザワ…
モブ
あれって確か払い屋のところの…
モブ
気味が悪い…罰が当たったのよ…
そこにいる人誰もが救急車なんて呼んでくれなかった…"ただ1人を除いて"
紫川 葵
紫川 葵
大丈夫ですか!?























…次に進む。

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