第5話

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2019/04/12 15:17


今にも雪に溶けて消えそうな真っ白い彼女が、あまりにも太陽みたいに笑うから。



彼女の周りだけ雪が溶けてしまいそう、とぼんやり見ていたら、当の五条さんが茶化しに来たのだ。



「よっ、何ぼーっとしてるのさ。新人の……蜜ちゃん、だっけ?」



スノーゴーグルを額に持ち上げ、にっと笑ったあの時の五条さんを、たぶん私は、一生忘れられない。


雪を乱反射させるこがねの瞳は、その瞬間、確かに私だけを映してきらきら輝いていた。



私はあまりの美しさにどもりながら、スキー出来ないんです、とこぼした。

じゃあ冬にまたスキー合宿をするから来ると良い、って、私の頭をぽんぽんと叩く。

そのまま五条さんは仲間と連れ立って、颯爽と四月のゲレンデを駆け抜けていった。





結局去年は暖冬で、来年に持ち越しだって言って二人で鍋をつついたっけ。

この白菜はわたしが育てたんだよ、とほんとか嘘か分からない話を聞かされた。


そして、来年こそスキーをしようね、と指切りをして。







五条さん。


私はまたあなたとの約束を思い出しましたよ。


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