友人の優が話しかけてくる。
無視しよ。
だが、優が目の前にスマホを突きつけてきた。
スマホに移されていたのは、近くの崖にいるあなた。
優が「はぁ」と呆れたようにため息をついた。
俺達の高校はホームページがあり、その学校の生徒だったら誰でも投稿出来るというシステムがあった。
その投稿にはあなたが崖にいる写真と、メッセージが載せてあった。
「午後4時 如月くんを待っています。あなたより」
どういういうことだよ。
あなたは俺のことを「如月くん」なんて言わない。
そもそもなんでこんな所にいるんだよ。
しばらく考えていると、前から「あのさぁ!」と大きな声が聞こえた。
声の主は優だ。
時計を見るとそうだ。
正直、行くかどうか迷った。
これは本当にあなたなのか。
写真はあなただが、メッセージは…
すると後ろから背中を強く押された。
いつも優しい優があんなに感情的になるのは初めて見た。
後ろで担任の声が聞こえた気がした。
だが、そんなの無視して俺はあの崖へと向かった。
⇦next!
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。