だんだんと自信なさげになっていく声が私を不安にさせた
繋いでいる手を強く握り男の子に話しかける
私が怖がってたらこの子まで不安にさせてしまう
私がしっかりしないと
曲がり角を何回か曲がりさらに奥へと入っていく
だが一向に道路に出ない
こんなにあるっていたらそろそろ反対側に出てもいいと思うんだけど…
繋いでいた手がスッと離れ、子供は走り出した
呼び止めて、追いかけようとした瞬間
子供の奥に現れたのは、お母さんでも、人間でもなかった
呪霊だ
それは手のようなものをくねらせながら、男の子へと近づいていく
男の子の元へと走り出す
あれに近づけたらダメだ
本能がやばいと叫んでいる
早くこの場から、あれから逃げないと
男の子の腹を抱えて走り出す
ちょっと重いとか、そんなこと言ってる場合じゃない
早くはやくはやく逃げ…
背中に強い衝撃と激しい痛みを感じた
突然のことに足を取られ、その場で転んでしまった
今までに感じたことのないほどの痛み
意識が飛びそう
地面を見るとかなりの血があった
これ全部私の血?それって結構やばい…
これ…ダメかも…
痛みと出血で意識保てないし、怖いし、
この子だけでも逃さないと…
誰か…………
やばいと思ったらいつでも連絡してください
必ず、助けに行きます
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!