屋上で空を見始めてから何分立ったのだろう。朝から女子に追われ、ひつこく話しかけられ、散々な目に遭った。今日の一日を振り返っても楽しいことなんてひとつもなかったな。だから学校きたくなかったんだよな。無意識にため息がこぼれる。るぅとが行けって言うからきたけど、やっぱろくな事ないな。
いや。一つあるとしたら、後ろの席の奴が静かなことぐらいだな。
どれぐらいここに居ようかな。時計をちらりと見ると、今は2時になったばかりだった。あの女子達も4時頃になったら帰るだろうから、それぐらいの時間帯までは待つか。
目を閉じ、本格的に寝始めようとした時、屋上のドアが開いた音がした。放課後に何の用だ…?少し不審に思いながら、そいつがでていくのをまった。だが、屋上に来たのは1人ではなかったらしい。5人ほどの複数人で、誰かを待っているようだった。幸いにもここの位置はアイツらからは見えないらしく、デケェ声で話をしていた。俺がいることにも気づかず。…何となく次起こることが分かり、スマホを取った
…吐き気がする。俺はお前みたいなうるさい女好きじゃない。どんな容姿をしているかここからじゃ見えないが、性格が終わっていることだけがすぐにわかった。少々気分が悪くなり、空を見ていると下から[ガチャリ]とドアが開く音がした。
あれから約1時間半。あいつらは虐めをし続けた。何度も何度も切りつけて蹴って殴って。人のことを玩具のように扱っていた。彼奴らが行った後俺は顔を出した。そこには、ボロボロになった青髪の男子がいた。
ころんは狂ったように笑い始めた。限界が来たように、助け欲しいように自分の体を抱きしめながら笑い続けた。俺はその様子を静かに見つめていた。だが内心では煮えたぎるほどの興奮をしていた。静かにしていたころんが壊れたように笑い始めた。その様子がその笑い方が、綺麗な顔が歪む瞬間が、俺の心を揺さぶった。
その後声が枯れ疲れたのか、先程とは違いころんは静かに眠った。俺はころんに近ずき、着ていたカーディガンをかける。酷いな。ころんの体を見て思ったのがそれだった。カッターで服まで切りつけられており、前付けられたであろう青アザが沢山見えた。肌は真っ白で、赤と白がくっきりと目立つ。静かに眠るころんはとても綺麗で、このまま青空に溶け込んでしまいそうだった。
ころんのそばに座り、髪を撫でる。サラサラと俺の手をすり抜けていく。
アイツら顔には攻撃しないんだな。まぁ流石に先生にはバレたくないんだろうな。てか、そもそもころんを虐める理由はなんだ?ころんが喧嘩をふっかけた、なんてないだろうし。そもそもころんからあいつらに関わるなんてなさそうだけど。ま、ころんが起きた時に聞けばいいか。
風が吹く。それと同時にころんの髪が揺れる
ほんとに。心の底から思ったのは初めてかもしれない。
あいつらはよくこんな綺麗なものを傷つけることが出来るな。逆に尊敬できる。まぁもう二度とさせないけど。
この時点で俺は。ころんという人間に強く惹かれていたのかもしれない。
アンケート
これからの[僕が1番だと思ってた]について
すぐに終わらせる
15%
長期連載
85%
投票数: 183票
NEXT➡❤×60
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。