第6話

第六話 貴方を守りたくて
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2023/07/14 15:28
城の外は危険だ。危ない。この世のものとは思えない化け物がウヨウヨしている。もっとも私もあなたから見ればそうかもしれないけど。とりあえず、外には貴方を殺そうとする者も存在する。外よりも私の城の方が絶対に安全!奴らも入って来れない。私は貴方を必死になって呼び止めようとした。無駄だと分かっていても。
あなたは私の声に気づかない。私の動きに気づかない。もしかしたら私は、貴方の中には存在しないのかもしれない。もし、そうだとしても、このままじゃ貴方は危険だ。まるで火の中に自ら飛び込む虫けらのように。自殺願望者のように。
私は貴方の行動に口出しする意味は無いのかもしれない。貴方がそうすると決めたのなら、止める資格は無いのかもしれない。でも貴方が死んでしまうのが嫌だった。貴方は今、城の外へ出ようとしている。私は貴方を助けたい一心で、気づいたら貴方について行ってしまった。まるでストーカーみたいだけど。
貴方が死を選ばずに、生きる希望を見つけれるように。
何故だかは分からないけど、貴方を見ていると懐かしさが込み上げてくる。
貴方が無事に"ここ"から出られるように。化け物から守れるように。私は貴方と共に歩いていった。まぁでも貴方からすれば、私は見えていないから一人旅だと感じてると思うけど。

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