第13話

味方
469
2019/01/26 09:03
キーンコーンカーンコーン




昼休みのチャイムが鳴る。
潮目 渚
まずは味方を付けなきゃ...
でもそんな早く、女王に反逆する味方なんて
見つかるかな...
桐島 和人
なーぎさっ!
和人はそう言って、私の前に現れる。

...見つけたかも。
潮目 渚
和人。
桐島 和人
ん?
潮目 渚
“椅子取りゲエム”って興味ある?
桐島 和人
え?あの、椅子取って競うゲーム?
潮目 渚
そうそう。
潮目 渚
玉座、奪ってみたくない?
桐島 和人
ぎ、玉座...?
潮目 渚
うん。女王の、玉座。
私がそう言うと、和人は驚いた顔で、
桐島 和人
お、お前..まさか...!
と言った。

私は、和人が示している「まさか」が何かはっきり
しなかったので、取り敢えず笑う。
桐島 和人
お前、復讐..すんの...?
頷かなくて良かった。
潮目 渚
まさか。
最初は考えたけどね。
潮目 渚
玉座から、下りてもらうんだよ。
私がそう言うと、和人は「にやり」と笑った。
桐島 和人
なんか興味湧いてきましたよ?
渚さん。
潮目 渚
それじゃ、やってみます?和人くん。
桐島 和人
おうよ!やってやる!
和人はそう言って、いたずらっぽく笑った。

...味方1人、確保。






















あとは、誰を味方に付けようか...



















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キーンコーンカーンコーン




放課後のチャイムが鳴る。








私は、教室から出ていく2つの影を追った。
潮目 渚
あ、あの...!
私は、その2つの影を止めて、
潮目 渚
お話、良いですか?
と問いかける。
美野木 莉乃
う、うん。
園風 雨音
良いよ。
園風 雨音
でも、ここじゃ愛梨が来るから
屋上行こ。
潮目 渚
はい!ありがとうございます...!

























屋上に到着した。
園風 雨音
...で?話って?
園風さんは腕を組ながらそう言った。
潮目 渚
女王...あ、
二人の前で「女王」って言ったらヤバいかな?
園風 雨音
良いよ。愛梨のこと女王で。
園風 雨音
あと、タメ口で。敬語は堅苦しい。
美野木 莉乃
私も同じく...。
潮目 渚
あ、ありがとうございま...
潮目 渚
じゃなくて、ありがとう!
そろそろ本題に入るか...。
潮目 渚
女王を玉座から下ろしたいんだ。
私がそう言うと、園風さんと美野木さんは
目を丸くした。
美野木 莉乃
あの、それ、私たちに言っちゃって
良いの?
美野木 莉乃
愛梨に言っちゃうかもだよ?
潮目 渚
あ...
園風 雨音
考えてなかった系のやつか...
図星です。園風さん。
園風 雨音
...で、何?
園風 雨音
まさか、私たちに味方になってほしい
とかないよね?
その、まさかなんだけど...
潮目 渚
園風さんは、女王がやり過ぎた時とか
止めてくれてたし...
潮目 渚
美野木さんは、止めて良いのか迷って
くれてたし...
園風 雨音
だから、味方になってくれるかも...
園風 雨音
ってこと?
潮目 渚
う、うん...
私がそう言うと、園風さんと美野木さんは
少し考えた後、私を見つめた。
園風 雨音
私は、今の地位を保ちたい。
やっぱり、そうなるよね...
園風 雨音
けど、愛梨の弱点なら教えても良い。
え...
潮目 渚
ほ、本当⁉
私がそう言うと、園風さんは首を縦に振った。
潮目 渚
ありがとう...!
美野木 莉乃
私は...
美野木 莉乃
私は...愛梨が怖い。逆らう勇気が
私の中にないんだ。
美野木 莉乃
けど、渚ちゃんが危ない時は
頑張って助けるから...!
園風 雨音
私も莉乃も、愛梨を良く思ってない。
園風 雨音
だから、君に託す。
園風 雨音
頑張れ。渚。
園風さんがそう言うと、園風さんと美野木さんは
笑った。

園風さんの笑顔を見たのは、初めてだった。


...とても、綺麗な笑顔だった。
潮目 渚
うん!ありがとう!
私はそう言って、笑った。
園風 雨音
じゃ、私たちは帰るね。弱点は今度
教える。
園風さんはそう言って、屋上の出口へと向かった。

屋上から出る間際、園風さんは私の方を見て、
園風 雨音
岸野を助けた時、かっこよかったよ。
と言って笑った。



























心が、とても晴れた気分になった。

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