第14話

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2021/11/28 10:40
「静華っ!!!」

「ちょ、やめっ…え」



カチャン、

沙耶香が私の腕を掴み、手首を軽く捻り包丁を振り払った。

床に落ちた地に薄汚れた包丁に視線がいく。


あれ、今私…


「あ、杏っ‼︎」

クリアになった視界に腹部を押さえて泣きながら転がっている杏。それを止血しようと傷口にジャージを押し当てている彼方。

「杏、杏っ…」

急いで杏に近づくと首元に手を当て脈があるかを確認した。

大丈夫、まだ間に合う。

「保、保健室に…」



「おい」



空気を一瞬で凍らせるかのように低く冷徹な声が背後から聞こえる。


「ちょ、啓介けいすけやめて‼︎」

状況が掴めない中ただ後ろに立つ人物。さっきまでは意識もしないほど静かで私たちの後をついてきた一人。啓介が、私の落とした包丁を持って立っていた。


「啓介っ、いい加減にしてっ!!」

後ろで沙耶香が叫んでいる。

私のことは止めに入ったけれど、流石に啓介は別らしい。近づいたら生きてはいられないだろう。特に凶器を持った彼には。



「そっか…なんでだろうとは思ってたんだよね」


「え、彼方…なんのこと?」

彼方は啓介をじっと見つめ静かに言った。





「おまえだろ?杏を刺したの」



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