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第10話

正反対の僕と俺
917
2021/09/23 08:00
いろは (作者)
いろは (作者)
やっぱりゾムさん主役しか書けないやばい人。…ということでアンケート。
多分、次回の主役はこのアンケートの結果の人+ゾムさんになると思います。
もしかしたらゾムさん入らないかもです。(いや、入るな。これは)

アンケート

次回の主役は…!
コネシマ
9%
グルッペン
13%
トントン
9%
エーミール
10%
シャオロン
23%
その他
36%
投票数: 332票
いろは (作者)
いろは (作者)
とりあえず主役枠0回のこの方々で…。
投票よろしくお願いします!
いろは (作者)
いろは (作者)
今回は5106文字。みんな大好き軍パロです。(偏見!!)今回は視点主がコロコロ変わります。前置きが長くなりましたが、本編をどうぞ!
ゾムside
ゾム
ゾム
『OK。敵国の城に潜入完了。』
ロボロ
ロボロ
『さすゾム〜!そのまま総統殺しちゃって!』
ゾム
ゾム
『りょ〜か〜い』
俺が総統を殺せばこの楽しい楽しい戦争お遊びは終わってしまうだろう。
まあ、でも…油断は禁物と言うし、サクッと殺してしまおう。うん、それが正しい。
ゾム
ゾム
チーッス!後ろガラ空きですよー!!!
総統
総統
なっ…!脅威…!
バンッ
幹部など総統の護衛を倒し、1人になった総統に問う。
ゾム
ゾム
最期に言い残すことはあるか?
総統
総統
…金でも名誉でもなんでもやる!だから、だから…!命だけは…!
ゾム
ゾム
…つまらん
ザシュッ
総統
総統
うぅ…ば、ばけ……も、、の…
総統
総統
…………
ゾム
ゾム
…さっさと殺しておくべきやったな
辺りを見渡す。
ゾム
ゾム
….無駄に凝った装飾品やな
総統の部屋を飾る為に重税を課される国民の気持ちを考えて欲しかった。ぐうクズ。

そんなことを考えていると、美しい鏡が目に入る。
…なぜだろうか。すごく気になる。
ゾム
ゾム
ちょっと豪華だけと普通の鏡。全身が映る。
…いつもの俺。

この鏡。なぜ総統の椅子の真後ろにあるのだろうか。
椅子と鏡の間は俺がギリギリ通れるくらいのスペースしかない。日常的に使うならば、置き場所を間違えている。
ゾム
ゾム
…考えてもわからん。
鏡から目を逸らしてダクトから帰ろうとする。あくまでも戦争中やし。こんな所で時間を潰している暇はない。…まぁ、そろそろ決着が着くだろうけど。

足を動かした…その時

ガシッ
ゾム
ゾム
!?!?
ゾム
ゾム
何者やっ!
振り向いても誰もいない…のに

腕は何者かに掴まれたままで。

鏡の方へと引っ張られて…
ゾム
ゾム
はっ…!?離せ!殺すぞ!
ゾム
ゾム
…え!?
俺は鏡へと吸い込まれていった。

…こんな非現実的なこと信じられへん
ゾム
ゾム
クッソ…
視界は真っ黒に染まった。
???
…起きた
ゾム
ゾム
…!
お前は、何者やっ!
???
…僕は、、、
目の前には少し長めの茶髪を後ろで縛っている紫色の瞳の青年が佇んでいた。
身長は俺よりも少し低いくらいで、既視感がある。コイツに会ったことなんてないのに。
ゾム(?)
ゾム(?)
…ゾム
ゾム
ゾム
…は?
よく見てみれば、俺にそっくりだ。
でも、俺の色、黄緑色をネガ反転させたような色合い。容姿はそっくりでも色合いが正反対だから気づけなかったのか。
…マジで意味わからん。
ゾム
ゾム
おいおい、どういうことだってばよ。
ゾム
ゾム
ちゃんと全部説明しろ。
愛用のナイフを「ゾム」に突きつける。
ゾム(?)
ゾム(?)
…僕は君。だから…君は、僕を殺したら
ゾム(?)
ゾム(?)
ゾム(?)
ゾム(?)
死ぬ
ゾム
ゾム
…ますます訳分からん。そんなんで脅しても無駄やぞ?
ゾム(?)
ゾム(?)
…僕だって死にたい訳じゃないから。もう一度教える。僕は君だよ。…君はきっと覚えてないけれど。
ゾム(?)
ゾム(?)
君は、何も知らない。忘れているから。
ゾム(?)
ゾム(?)
僕は、今日から僕であり、君なんだ。
…もう君に伝えることは無い。
ゾム
ゾム
おい!
隠し持っていた銃で彼を撃つ。

…が、彼は簡単に避けてしまった。
いや、避けられたというよりは…

「消えた」

という表現が的確だろう。
ゾム(?)side
ゾム(?)
ゾム(?)
ゾム(?)
ゾム(?)
…君のシアワセを…____
僕は君。
なのに、君だけなんて…おかしい。

…僕は、、、




ゾムは我々軍の基地へと走っていった。
グルッペンside
トントン
トントン
グルさん、おつかれ。
グルッペン
グルッペン
トントンもお疲れ様。楽勝やったな!
トントン
トントン
まぁ、あんな国雑魚っすわw
死んでどうぞー
死んでどうぞ
に感情がこもっていなくて怖いゾ。
グルッペン
グルッペン
…w
まぁ、勝利祝いのパーティをやるぞ!もう幹部は全員帰ってきてるか?
トントン
トントン
んー、あとゾムだけやな。
ゾムにはロボロから連絡入れてるから大丈夫。
グルッペン
グルッペン
了解だゾ!
俺がトントンから目を離した、次の瞬間…
トントン
トントン
ア”ア”ッ……ゔっ…
ガタン
グルッペン
グルッペン
トントン!
バン
グルッペン
グルッペン
…っ!何者だ!
何者かによってトントンが撃たれた。
なんとか急所は外したようだが、胸には真っ赤な彼岸花を咲かせている。
グルッペン
グルッペン
…アッ
肩に1発撃たれた。やばい。
かなりの実力者だ。

姿を現さないから、勧誘できない!()
…それ以前に、死んでしまうかもしれない。
トントン
トントン
…ゾ、ム…?
グルッペン
グルッペン
トントン!無理して喋るな!
とりあえず医務室に行くゾ!
トントン
トントン
ゾム…だっタ…
グルッペン
グルッペン
…あの侵入者が?
トントン
トントン
嗚呼……………
トントンが倒れていた所からは下から見上げる感じになるから角度的に見えたのだろう。
…なぜ、ゾムが?

このタイミングで裏切りとは考えづらい。
裏切るならば、敵国総統を殺す必要が無いからな。

だとしたら…洗脳か?
ゾム(?)side
シャオロン
シャオロン
あぁ、ゾム!無事でよかった!
コネシマ
コネシマ
それよりも!侵入者がいるらしいっ!ゾム、気配とかでわかったりせぇへんか?
シャオロン
シャオロン
俺は!トントンとグルッペンを撃てるような暗殺者にゾムが殺られてないか心配したんやぞ!
ゾム(?)
ゾム(?)
バカバカしい。
コネシマ
コネシマ
ゾム?お前、大丈夫か?
バンッ
コネシマ
コネシマ
ウッ
シャオロン
シャオロン
コネシマ!
シャオロン
シャオロン
ゾム!どういうつもりや!
(・д・)チッ
急所をギリギリで避けられたのは野生の勘のせいか。
ゾム(?)
ゾム(?)
僕は…殺す…。
バンッ

バンッ

バンッ
シャオロン
シャオロン
…クッソ
ゾムside
ゾム
ゾム
お前!どういうつもりやねん!
俺の仲間を傷つけて…!
ゾム
ゾム
お前が言う通り、お前が俺ならば仲間を思う気持ちは変わらへはずやろ!!!
ボワッ
ゾム
ゾム
…!
急に俺の目の前に彼が現れた。
ゾム(?)
ゾム(?)
嗚呼。確かに、君は…僕。でも…
ゾム(?)
ゾム(?)
「今の君は僕じゃない」
ゾム
ゾム
は?
今の君=俺
今の君≠僕 つまり 俺≠彼
(≠は等しくない。ノットイコールという意味)

彼は「俺=彼」と言った。矛盾している。
ゾム
ゾム
おい、矛盾してるやないか!
ゾム(?)
ゾム(?)
「今の」
ゾム
ゾム
(・д・)チッ
お前口数少ないねん!
ほんまに…色合いだけじゃなくて性格も正反対やな!
ゾム(?)
ゾム(?)
…今の君は、君の過去を覚えているか?
ゾム
ゾム
フリーの暗殺者として働いていたら、ある日強引な手段を選ばない引き抜きをしようとしてきたヤツらのせいでボロボロになってしまって…
そこをグルッペンに助けられて拾われた?

この過去に何の問題があるのだろうか。
ゾム(?)
ゾム(?)
フリーの暗殺者になる前の話を君は覚えているか?
ゾム
ゾム
はぁ?…………………
覚えていない。
なぜか思い出せないのだ。
思い出そうとすると頭痛がする。1回それで倒れたことがあって、みんなには無理して思い出すなと言われている。
ゾム
ゾム
…で?お前は何が言いたいんや?
ゾム(?)
ゾム(?)
僕は…………
ゾム(?)
ゾム(?)
昔の君だ
ゾム
ゾム
…!?
ゾム(?)
ゾム(?)
今は存在しない昔の君の人格。
ゾム(?)
ゾム(?)
僕は、今の君…今の「ゾム」を知らない。
僕という存在は…記憶は…「ゾム」に忘れられたから。
ゾム(?)
ゾム(?)
君は、僕…昔の「ゾム」を知らない。ついさっきまでの「ゾム」の体の主導権は君という存在人格が持っていた。僕は、「ゾム」という依代を取り返しただけ。
ゾム
ゾム
…お前は、「ゾム」を使って何をしようとしている。
ゾム(?)
ゾム(?)
君の仲間を…殺す
ゾム
ゾム
…なぜ
ゾム
ゾム
なぜお前はグルッペンたちを殺す必要があるんや
ゾム(?)
ゾム(?)
パッ˗ˏˋ ˎˊ˗
ゾム
ゾム
おい!消えるなんて卑怯やぞ!
ゾム
ゾム
………
ゾム
ゾム
クッソ…
このままでは、みんなが…

ー 殺 さ れ る ー

もう既に手負いのやつが複数人いる。それに、みんな戦争である程度疲労している。
俺は…体の限界を超えてナイフを振るえば手負いの幹部を全員殺すことがきっとできてしまう。
…じゃあ、みんなが殺されるのも時間の問題?


仲間を失う恐怖で体はガクガク震えているのに、頭は冷水をかけられたかのように冷静だった。

ゾム
ゾム
……
ゾム
ゾム
…解決策は、、、
みんなが「ゾム」を食い止めることは出来ないと仮定すると………?

「ゾム」をどうにか出来るのは……

俺だけだ。

しかし、今の俺は体の主導権を暴れている本人である彼にとられている。
つまり、実体がないも同然だ。

物理的には何も出来ない俺が出来ること…

それはなんだ?
ゾム
ゾム
…クッソ
考え事は得意じゃないねん…
どこかもわからない暗闇の中、宙を蹴り飛ばす。


…イライラしても何も進まない。タイムリミットはこうしている間にも迫ってきている。

彼は、「昔のゾム」と言った。つまり、ゾムがフリーの暗殺者になる前の記憶を司る人格だ。

…今のゾムは「二重人格」というものだろうか。
いや、ゾムが記憶を無くして俺という人格が生まれた時から二重人格だったのだろう。

人格は2つもいらない。彼を消すべきだ。
価値のない過去なんてしってても何にもならない。大切なのは「今」だ。

どうすれば彼を消せるだろうか。
彼はゾムの…俺の過去の記憶を持っているのに対して俺は過去の記憶を持っていない。
それが彼の存在意義なのだろう。

ということは…?

俺が過去を思い出せば彼の存在意義はなくなる。

消せる?
ゾム
ゾム
…それしかないよな、、、
フリーの暗殺者になる前。

…なぜ俺は「暗殺業」という裏社会の仕事に就いたのだろうか。
なにか普通には暮らしていけない事情があったはず。

それはなんだ…?
人間は、あまりにも辛いことは忘れてしまうのだとエミさんが言ってた気がする。
じゃあ、忘れてしまうほどに残酷な…
???
おい!化け物のくせにこんなこともできないのか!
???
……ごめんなさい
ゾム
ゾム
っ!
ゾム
ゾム
………
逃げるな、俺。思い出せ…!
???
お前は唯一の成功作なのに!
???
なぜ言う通りにできない!?
???
お前もあいつらのように…


殺されたいか?
???
…ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい
ゾム
ゾム
………うぅっ…
頭が痛い。

知りたい。みんなを助けたい。

知りたくない。忘れていたい。
痛いのは、苦しいのは嫌だ
???
ゾム!
ゾム
ゾム
…!
しっかりと響いた仲間の声。

目に映るのはボロボロのグルッペンと余裕そうなゾム。
グルッペン
グルッペン
俺のことがわかっているのだろう!
ゾム(?)
ゾム(?)
嗚呼。
わかった上でナイフをお前に突きつけている。
グルッペン
グルッペン
なぜお前は俺を殺そうとする!
俺たちの絆はそんなに脆いものだったのか!
洗脳されたか、薬漬けにされたかは知らない!
グルッペン
グルッペン
お前が操られたって、「ゾム」は俺らの仲間なんだゾ!
ゾム
ゾム
…グルッペン、、、
記憶の断片は少し思い出せたんだ。あと少し、あと少し……!
ゾム(?)
ゾム(?)
…うるさい。
シュッ
グルッペン
グルッペン
…っ
ナイフがグルッペンの首の真横を通る。
グルッペン首の皮から飛び出る赤色。
ゾム(?)
ゾム(?)
…終わりだグルッペン。
ゾム
ゾム
やめろおおおおおお!!!!
嫌だ!嫌だ!嫌だ!
ゾム
ゾム
グルッペンを、仲間を殺すな!!!
ゾム
ゾム
ゾムの過去が酷いものだったということはわかった!
ゾム
ゾム
お前はそのひどい過去だけを覚えていて辛いかもしれない!
ゾム
ゾム
でも!
ゾム
ゾム
どんな理由があったって…お前は俺なんや!
俺の仲間…ゾムの仲間は、お前の仲間なんやぞ!
カラン
ゾム(?)
ゾム(?)
…うるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいっ
ゾム(?)
ゾム(?)
結局は何も知らないくせに……仲間なんてしらねぇ…
お前だけが幸せなんておかしいだろ…
グルッペン
グルッペン
ゾム……
ゾム
ゾム
…じゃあ、お前の記憶を、痛みを頂戴。
2人で1人。幸せも、苦しみも全部。

そうすれば、お前も幸せになれるやろ?
ゾム(?)
ゾム(?)
ゾム
ゾム
俺がお前に幸せを分ちあってお前は苦しみを半分受け渡せるんやからええ取引やろ。
ゾム(?)
ゾム(?)
………
ゾム(?)
ゾム(?)
…負けたよ
ゾム(?)
ゾム(?)
…ありがとう。
バタリ
ああ、みんなはどうなったんやろうか。
ゾムが殺してしまったんやろうか。

彼と俺の問題は解決できたけど…みんなが死ぬなんて嫌や

彼…ゾムが倒れるのと同時に俺も気を失った。

???
…ゾム!
???
ゾム!!!
ゾム
ゾム
…ん
ゾム
ゾム
…シッマ、シャオロンショッピくん?
ショッピ
ショッピ
…よかったぁ、、、
シャオロン
シャオロン
お前!なんで敵国の総統室で優雅にお昼寝しとんねん!
コネシマ
コネシマ
遅かったからみんな心配して、俺らが迎えに来たんやぞ!
ゾム
ゾム
…シッマ、心あるやんけぇ…
コネシマ
コネシマ
あるわ!
ショッピ
ショッピ
とにかく、ゾムさんが無事でよかったです。帰りましょう。
シャオロン
シャオロン
せやな!…ゾムゥ?お前くたばってんちゃうぞ?帰ったら思いっきりはしゃぐからな!
ゾム
ゾム
…おん!あったりまえやろ!
みんな、生きとる…
なんでや?夢だったんか?

後ろを振り向いてみても、あの鏡はない。

…夢でよかったな。でも…過去は思い出した。
彼1人でずっと背負っていたならば大変だっただろう。
まぁ、だからといってグルッペンたちを殺すのは許せへんけどな。

同じ自分なのに、過去の苦しみも知らずに幸せである俺が羨ましかったから、幸せを壊してやろう……みたいな感じやったんかな。頭、悪ない?まぁ、ただでさえあんまり賢くない俺の幼いバージョンやもんな、うん。

…彼、これから幸せになれるやろうな。
彼は俺なんやから!
ゾム
ゾム
ふふっ
コネシマ
コネシマ
お前…何わろてんねん…
シャオロン
シャオロン
どうした?w
ゾム
ゾム
いや、なんでもないで!パーティー楽しみやなぁって!
シャオロン
シャオロン
じゃあ、基地までかけっこや!よーいどん!
ゾム
ゾム
お、お前っ!ずるいやろ!
ショッピ
ショッピ
クソ先輩には絶対勝ちます。そして殺します。
コネシマ
コネシマ
おいショッピィ!
ゾム
ゾム
相変わらずやなぁ…
ほら、嫌になるくらい楽しくて、幸せやろ?










「そうだな」と聞こえた気がした。





【完】

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