パンッ!
鳴り響くピストル音にすばやく反応し、ブロックを蹴って飛び出した。
深い前傾を保ち、力強く腕を振って前へ踏み出す。
空気を切るように走りだす。
出だしは好調。
だけど、ずば抜けて速い選手がいる。
佐野さんだ。
彼女は序盤の勢いが凄まじい。
他の選手と距離を広げていく。
ーーでも、抜いてやる。
ぐんぐんとスピードを上げていく。
私は中盤の追い上げに自信があった。
実際に、後半三人をごぼう抜きした経験もある。
頭で考えながらも全力疾走。
集中は一切、途切れていない。
ーー大丈夫。いける。
軸を保ちながらコーナーを回る。
スピードを落とさぬままさらに加速した。
筋肉が滞りなく機能している。
十分に温まった筋肉の動きは良好。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。