第43話

30話
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2024/02/20 12:00
何で逃げたの。
何で黙ってたの。
何で隣にいてくれなかったの。
叶 雪(おらふくん)
叶 雪(おらふくん)
……Men
大城 芽衣(おおはらmen)
大城 芽衣(おおはらmen)
…ぉ…らふ、く…、
言いたい事が沢山あったはずなのに。
ちゃんと言葉にならないまま、距離は一つとして縮まらなくて。

縮まらない。縮まらないから、だから……

僕が近づく。

ゆっくりと足を踏み出して、親友に歩み寄った。


ここは土手。町に流れる川をなぞる土手に、Menは静かに蹲っていた。草を踏みしめる度に柔らかな感触が靴を伝わっていく。
叶 雪(おらふくん)
叶 雪(おらふくん)
……何で言ってくれなかったの
大城 芽衣(おおはらmen)
大城 芽衣(おおはらmen)
な、何で……って……
叶 雪(おらふくん)
叶 雪(おらふくん)
……幽霊だって、言ってくれればよかったのに。危害を加えてるなんて、僕は…
Menは優しいから。人を傷つけることもきっと分かっていて、それでも僕のために隣に居てくれたから。

幽霊だって言ってくれればよかったのに。
僕を頼ってくれればよかったのに。
大城 芽衣(おおはらmen)
大城 芽衣(おおはらmen)
ごめん。ごめんなさい、…許されないよ、分かってるけど…それでも、俺は
違う。したいのは、糾弾じゃない。
責めたいわけじゃない。ただ、『何で』を解決したいだけ。
叶 雪(おらふくん)
叶 雪(おらふくん)
僕は……っ
声を上げた瞬間。
どこか静かで、冷静な声が隣から響いた。
四葉 伊月(おんりー)
四葉 伊月(おんりー)
……あと一時間
おんりーの雰囲気が一変している。
優しげな雰囲気は消し飛び、今は冷酷な死神の顔をしていた。
叶 雪(おらふくん)
叶 雪(おらふくん)
あと、一時間?
大城 芽衣(おおはらmen)
大城 芽衣(おおはらmen)
……!
なんのタイムリミットだろうか。
首を傾げると、Menの顔が蒼白なことに気がついてふと息を飲む。
何かに気づいている。
僕が知らない、何か。
そうして、
おんりーは"死神"として言い放った。
四葉 伊月(おんりー)
四葉 伊月(おんりー)
天界長が判断を下した。『大城芽衣』は人間に危害を加える存在だと判断したらしい。
四葉 伊月(おんりー)
四葉 伊月(おんりー)
よって、『大原芽衣』は











四葉 伊月(おんりー)
四葉 伊月(おんりー)
一時間後に消滅する。






さよならはいつも傍らに。
微笑みを浮かべ、悲しみを隠しながら。

『死』は刻一刻と迫っている。

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