あなたの名前視点
────くん、…〜くん
まだ意識がはっきりしていないの中、宇佐美さんが急いで部屋を出て「みんな、あなたの名前くん起きたよ!!」と大きな声で呼びかけるのは見えた
すると、ドタバタと音がして、MACHATU-Aのみなさんがこの部屋に向かってきた
みなさん、口々によかった、って言ってくれている
みなさんには申し訳ないけど、
俺は この光景初めて来た日も見たな〜と呑気に考えていた
えっと、俺は何をしてたんだっけ
………そうだ、俺は、ヴィランに騙されて
また噛んじゃったんだ
それに、ほら また小柳さんに迷惑をかけてしまった
なんかもう、ヒーロー失格だなあ…
ベッドに横たわって、頭を動かすことすら痛い今の俺の身体には目を動かすのがやっとで、頑張って視線をずらすといそいそと緋八さんが近づいてきていた
緋八さんはベッドの傍で膝を落として、震えた手で俺の手を握ってくれた
俺は、俺にはこんなことされる資格なんてないのに
なんとなく壁に掛かっているカレンダーを見ると、小柳さんと買い出しに行った日から1週間が経とうとしていた
嘘、こんなに…?
その名を口に出して、ふと足りない存在に気づいてしまう
部屋の中に、少しだけ静寂が流れる
うそ、だ
声のする方を見ると、佐伯さんに支えながらよろよろとやって来る小柳さんが居た
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。