あきらくんがいたのは図書館だった。
みんな文章を描いたり、本を読んだりしていた。
静かすぎて挨拶が会釈になっちゃったよ!
え!部長!?
凄すぎる!まだあきらくんて中1だったはず…
さくちゃんは一度そこで話を区切った。
でもここまで話されたら勝負の結果は分かりきっているよね。
やっぱり……
あきらくんは文学の天才なのかなぁ?
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私は今さくちゃん、あきらくんの2人と一緒にシェアハウスへと帰っている。
いちろくんも一緒に帰りたかったけど、下駄箱を見たらもう靴がなかった。
まあ、正直いちろくんが怖いのでちょっとほっとしている。それはさくちゃんも同じみたいで下駄箱を見て胸を撫で下ろしていた。
そんなことを考えていると、
家の前に鞄を持ったいちろくんがいた。
私の声に反応していちろくんが振り、私を睨む。
あきらくんが鍵を取り出す。ガチャっと音がして鍵が開き、扉が開く。
そしてみんなスタスタと家に入っていった。
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目の前には紅茶の入ったカップとクッキー。
私とあきらくんは家に帰ってきてからリビングでお茶をしている。ふわふわのソファーが気持ちいい。
あきらくんが私の部屋に来て「ちょっといいか?」と聞いてきたときは驚いたけれど。
あきらくんがいったことが信じられなかった。
馬鹿にされた。
あきらくんはそういうけれど、それはいじめられた。
ということではないだろうか。
友達3号。恐らく中学校に上がってからいちろくんの初めての友達。
正直いちろくんは怖いけど、それも今までの経験のせい。
本当はどんな人なんだろう。
気になる。
あきらくんの顔が太陽みたいに明るくなっていく。
そして、ちょうどクッキーを食べ終えた私たちは後片付けをし、自分の部屋へと戻っていくのだった。
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編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。