買い物を終えて私たちは家に帰ってきた。
そっか。ここ4人住んでるのにお風呂ひとつだもんね。1人ずつ入っていられないのか。
そう言うなりあきらくんといちろくんはお風呂に移動した。
冷蔵庫からいちろくんが作ってくれたハンバーグを出す。それを電子レンジで温めて、食卓に持っていく。そして私たちは向かい合わせに座った。
沈黙…なんでか昔から苦手なんだよね。でも話すことないしなあ……
あれ?私もしかして聞いちゃいけないこと聞いた!?
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あのね、昨日あきらくんが言ってたようにいちろくんとあきらくんは幼なじみなの。
でも、私はちがう。
だから今まで肩身が狭かったんだ。
あきらくんは関係ないって言ってくれるし、 いちろくんも私にあきらくんと同じように接してくれてる。
でも、いちろくんが私の前ではしない笑顔をあきらくんに見せたのを見ちゃったんだ。
それで、ああやっぱり私は部外者なんだ。いない方がいいのかもって思ったの。
でも、あかりちゃんが来てくれてちょっと気が楽になったんだ。
だから、あかりちゃんが来てくれて嬉しいんだ。
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さくちゃんは泣いていた。それをみてああ、辛かったんだろうな。と思った。
私は精一杯の笑顔を浮かべる。本当に嬉しかった。私にそこまで心を開いてくれたことが。
しばらくそのまま2人で笑いあっていた。
もちろんご飯も食べ終わった。
そのあと私はお風呂やらなんやらの支度をし、ソファーにねっ転がった。私のベットが届くまでの寝床だ。さくちゃんは自分がソファーで寝ると言ってくれたが、申し訳ないので断った。
そんな言葉とは裏腹に私は数分で寝息を立て始めた。
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編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。