バレンタインめっちゃ遅れました汗
バレンタインはチョコを貰うイベントであって、あげたことはなかった。自分が " 本命 " に何を作るか頭を悩ませることになるなんて、思ってもなかった。
「はぁ…」
慣れもしないお菓子作りなんかでぐちゃぐちゃになったキッチンを見渡してヘチャンは嘆息した。
2月13日、バレンタイン前日。ヘチャンは、「彼氏」のマークに渡すためのチョコを作っていた。
なんで自分がこんなにドキドキしているんだ、だなんて考えると負けな気がして首をぶんぶんと振る。
だって、見てしまったのだ。
「今年はヘチャナから手作り貰えるかな」なんて、頬を緩ませて嬉しそうに話すマークを。それを見てからのヘチャンのスマホの検索履歴はお菓子のことだらけである。
ヘチャンはマークには滅法弱かった。情事の時だって、どれだけ疲れていてもマークがあのきゅるきゅるの瞳で「あと一回」と強請られたら答えてやった。次の日立てなくなった時は流石にキレたけど。でも、マークにヘチャンの頭を撫でられると全て許してしまえた。ヘチャンを見つめるその瞳が本当に愛おしそうだったから。「瞳を見ればわかる」との言葉の通り、マークの瞳を見れば愛されているのだなんて丸わかりだった。普段塩対応なことへの文句とかも、全て許してしまえた。
その瞳を期待して、ヘチャンはやったことも無かったお菓子作りに勤しむのだった。
「お、美味しい」
焼き上げたチョコマフィンを味見して呟く。多少不格好ではあるが、味は美味しい。形はご愛嬌、ということにしておこう。大事なのは気持ちだし。
これまたうんうん悩みながらラッピングもして、あとは明日を待つだけ。明日はマークの家に行く予定を取り付けているから、その時に渡すつもりだ。
どんな反応を見せてくれるかな、なんてワクワクしながら眠りにつく。小さい頃はチョコレートを何個貰えるかを友達と競っていたけれど、今は渡す側なのはやはり不思議な気持ちだった。
翌朝。
バレンタインだからと言って仕事が無くなる訳でもなく、いつも通り出勤する。今日誕生日のジェヒョンにプレゼントを渡し、スタッフヌナ達からチョコレートを貰う。マークの様子を伺うも、特に普段と変わらない様子だった。
ちぇ、つまんないの。何故か悔しくて、マークから目を逸らした。自分ばっかりドキドキしているのは負けた気がして嫌いだ。何と勝負してるんだって話だけど…
普段ならしつこく絡みに行っている筈のマークの所に、今日は中々行けなかった。
仕事終わり、2人で乗った車でも話しかけるのを何故か躊躇ってしまい、マークが何か話しかけようとしているのを無視してイヤホンを耳に突っ込んでしまった。マークの視線から逃げたくて目を閉じる。
「…きて、起きて」
「……ん、」
いつの間にか寝ていたらしい。意識がまだはっきりしないままに手を引かれて車を降りる。
「お風呂とご飯どっち先にする?」
「お風呂…」
「ん、おけ」
まだどことなく頭が覚醒しきらないしたままお風呂に入る。シャンプーをして、自身から香る匂いがマークのものになったことに気づいたことでやっと意識がすっきりした。
明日の仕事は昼から、ということは…
「そのつもり、だよね」
ローションを手に取り、後孔にそっと指を伸ばす。久しぶりに弄るそこは固く閉ざされていて、指を1本入れるのがやっとだった。
「 ッふ…、んっ」
ナカを押し広げるように指を押し付けると、敏感なところを擦って思わず声が出てしまう。浴室でその声は思ったより響いて、マークに聞こえていないかと不安になる。
音を誤魔化すようにシャワーを流して、もう1本指を増やす。
「…ッ、ふ~~ッ……ぁ、」
快感を教えこまれた身体は否が応でも反応してしまって、解しておくだけのつもりだった指が、快感を求めて動く。三本の指をばらばらと動かすと、息が詰まるような快感がヘチャンを襲った。
「…ぁ゙、~~ッふ、っあ」
もうとっくの昔に孔は解れているし、あんまり長くいたらマークに心配される。それは分かっていても、手を止められなかった。
「…ぁあッ、~~~ッ、ふ…」
やばい、イきそう。
その時だった。
ガチャッ
「ヘチャナー?だい、じ……」
うそでしょ、まって。
「ちがっ、ちょ、これは…」
頭が真っ白になって、何を話しているかすらもよく分かっていないままなんとかドアを閉めようとする。でもマークの馬鹿力のせいでそれも叶わない。あぁくそ、なんでこうなるの。
「ヘチャナ、今日俺の事避けてるのにこういうことはしたかったんだ?」
マクヒョンの笑顔が怖い。え何怒ってる?だいぶやらかした自覚はあるけどさ、
「いや、これは…」
「なに」
「今日、バレンタインだし…泊まるってことは、そういう事なのかなって思って…」
あー、言っちゃった。性欲やばいやつってドン引きされたらどうしよう。軽蔑されたらどうしよう。そうなったらもうおれ生きていけない。
「…ごめんなさい、」
何も話さないマークが怖くて、思わず零れた謝罪の言葉。今に限ってはマークが何を考えているかがひとつも読めない。
「…俺、何も怒ってないけど?」
「へっ!?」
「俺のこと考えて、頑張ってくれてたんでしょ?」
___可愛いね、ドンヒョガ。
そう耳元で囁かれて、俺の身体に甘い痺れが走る。
「ねぇ、今シてもいい?」
俺、もう我慢できない。
そう言われて、マークのモノも張り詰めていることに気づく。見てしまうともう止められなかった。
「ひょんの、ちょうだい」
挑発するようにマークの唇を奪う。
「…ふっ……んぅッ……」
舌を絡めて、どちらかのものかも分からない唾液が口端から垂れる。
「…んっ、…ぁぅ……ぷはっ」
銀糸を引いて唇が離れる。萎えかけていた俺のモノもすっかり硬さを取り戻していて、それを見たマークが小さく笑いを零した。
「ねぇ、ひょん…はやく、」
「ん、わかった」
びしょびしょだと風邪ひくから、とバスタオルで体をくるまれて抱き上げられる。寝室に向かうまでの少しの間でもマークを感じていたくて、唇に吸い付いた。
「…んっ……もう、」
__ドンヒョクは我儘なんだから。
あの大好きな甘い瞳で微笑まれて、心臓がどきん、と高鳴る。
「もういっかい、ちゅう…」
「…ん、口あけて」
しんどい体勢の筈なのに、それを微塵も感じさせない力強さにまたときめいて。
「…はぁっ……ふぅッ…」
寝室のベッドにそっと下ろされて、バスタオルを剥ぎ取られる。自分だけ服を着ていないのが恥ずかしくて、マークのスウェットを勢いよく下ろした。
「はやく、……ぁ゙っ!?♡」
マークのモノだって苦しそうに張り詰めているのに、それを気にしないかのように弄ばれる。
「ひぅッ、ちくび、やぁ……ッ♡」
乳首をじゅうっと吸われて、身体がびくびくっと痙攣する。
「やじゃないでしょ、こんなにしてる癖に」
「ひぁ゙ッ♡ そこッで…はなさなぁ~~~~ッ♡!?」
ビクビクビクッ♡
「あ、イった?」
「……だから、いやだって言ったのに…」
マークの膝が自分のモノをごりっと刺激すると、呆気なくイってしまった。恥ずかしくて顔を隠すけど、頬にそっとキスを落とされて顔を隠していた手をそっとどけられる。
「ごめん、やりすぎた…後ろ向いてくれる?」
「も、いいから…はやく挿れてよ」
俺が吐き出した白濁を手に取って、後ろを解すマークの手を止める。散々お預けを食らわされた身体は一刻も早くマークを欲していて、もう我慢出来なかった。
「なにそれ、」
___我慢できなくなるじゃん。
「ひッ、ぁッ、ぁ゙~~~~~ッ♡♡」
腹の中に圧倒的な質量が埋め込まれる。待ちわびていた快感に、頭がスパークしそうだ。
「…ぁ゙~、キッツ…もうちょい緩めて」
「む、り゙ッ♡できなぁッ…」
「ぁ゙ッ♡ ひぅ……♡」
力を抜こうとしても逆効果で、更に締め付けて勝手に感じる負のループに陥ってしまう。
「…ぁ゙っ、……」
脇腹にじゅう、と吸い付かれて、思わず力が抜ける。
「…ん、いい感じ、ッ♡」
「…ひぁッ♡ ぁ゙ぁ゙ぁっ♡♡」
奥をガツガツと突かれて、目の前がチカチカする。勝手に涙が溢れてきて、それをマークの唇がそっと吸いとった。
「…っひ♡、やば、とまッ♡」
「だめッ♡ そこ…ッッ♡」
「…むり、おれもイきそ……」
「…ッひ、ゃだ、なんっ、かきちゃっ♡ ぁあ゙あ゙~~~~~ッ♡♡」
「…ぁ゙ッ、でる…♡」
さらさらとした透明な液体がとめどなく溢れ出る。ナカに注ぎこまれるマークの白濁の感覚でさえも快感として受け取ってしまって、ずっと身体の痙攣が止まらない。
「ひぃッ、ひょんッ……」
「ドンヒョガ、ここにいるよ……」
怖くなって、定まらない視界でマークに手を伸ばす。しっかりと握られた手が心地よくて、勝手に言葉が零れた。
「ひょん、すき…」
「おれも、大好きだよ」
俺の意識はここで途切れた。
目を覚ましてはっと時計を見ると、深夜2時。色々な液体でぐちゃぐちゃだった身体は綺麗になっていて、隣で穏やかな顔で眠る男が後片付けを全てやってくれた事を知った。
「まって、」
そこでやっと気づく。
「バレンタイン渡しそびれた…」
もう日付は変わっている。ご飯もお風呂もすましてからバレンタインを渡して、そこから……のつもりだったのにもう手遅れだ。
「はぁ……」
とりあえず枕元に置いておこうとベッドをそっと抜け出す。ぺたぺたと廊下を歩き、玄関に放り出したままの荷物の中にマフィンはちゃんとあった。
もう一回寝ようと寝室に戻ると、マークが体を起こしていた。
「あれ、起こしちゃった?」
「ヘチャナ、いた…」
ぎゅ、と抱きつかれる。目が覚めたら俺が居なくて不安になったらしい。愛おしくて、頭をそっと撫でる。
「ひょん〜〜」
「んー??あ、何持ってるのこれ」
マークが俺の左手のラッピングされた袋を指して言う。
気づかれたしもうここで渡すか。
「日付変わっちゃったけど、これ…バレンタイン」
「手作りだから味の保証はないけど…」
「え、これヘチャナが作ってくれたの!?」
「まって、めっちゃ嬉しい…」
本当に嬉しそうに袋を眺めるものだから、こっちが照れてしまう。
「今食べていい?」
「いいけど…」
そう言うと、袋を早速開けてマフィンにかぶりつくマーク。口の周りにマフィンのかけらが付いていて、まるで小さな子供みたい。
「美味しい!!天才だよヘチャナ」
「ほんと!?よかった」
「ヘチャナのセカンドライフはパティシエかな」
「なにそれ笑 口の周りめっちゃ粉ついてるよ」
そういって手を唇の横に伸ばすと、マークが指を舐めてくる。
「…っ、何やってるの」
「もういっかい…だめ?」
「もう、しょうがないな」
まだまだ俺たちの夜は終わらないらしい。
ほんっっとに大遅刻どころの話じゃないですバレンタイン。ごめんなさい。今日にゃんにゃんにゃんの日…また猫ちゃんのお話は書きます😿
あと私の妄想力だと限界があるので本当にリクエストください…この体位が好きとかぼんやりしたものでもなんでもいいので…リクエストくださった方本当にありがとうございます🥹学パロ頑張ります🔥
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。