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第1話

列車
6
2024/03/16 16:13
札番号五八九
札番号五八九
__あぁ、来られましたか
札番号五八九
札番号五八九
初めまして使い様
札番号五八九
札番号五八九
そして、これからこの列車で永遠のお供をさせていただきます
札番号五八九
札番号五八九
札番号五八九です
初め会った時は少し驚いた表情をして、その後俺に向かって律儀に礼をしてきた綺麗で美しい少年
この列車の外からこちらを眺めるとすれば、星が飛び回る綺麗な宇宙とレトロな列車、綺麗な少年、戸惑う俺という異様な空間が映し出されるだろう
気づけば、五八九といった少年が戸惑う俺になにか言いたげに見えた
使い様
使い様
な、なに?
札番号五八九
札番号五八九
……失礼しました!使い様の呼び方もいいですが、一応名前を知っておきたくて
使い様
使い様
な、名乗るつもりは……まだない
札番号五八九
札番号五八九
そうですか、失礼しました
使い様
使い様
……
札番号五八九
札番号五八九
……
札番号五八九
札番号五八九
そうだ、良かったらこの列車をご案内します
使い様
使い様
う、うん、頼む
そしてぎこちなく、気まずい空間のまま後ろの車両へと案内された
ここはどうやら神の部屋みたいなもんだと言われてきた
全然違う、部屋じゃないじゃん!列車じゃん!
……俺はとある神社の息子だ、5人兄弟の4男だ
そして、彼が最初驚いた理由は恐らく……俺が男だからだ
元々ここには神社の娘が捧げられるはずなんだが、家族は何故か男しか産めなかった
話によれば
母「そうだ!1番女顔の子を捧げましょ!」
父「天才か!?いいな!じゃあ3男~5男で1番女顔のやつに女っぽい名前を付けて、捧げものとして育てよう!」
だそうだ
いや俺の両親クソすぎじゃね????
そうして、俺が選ばれ、小さい頃からほとんど監禁されて常識範囲の勉強させられて
好きな格好も出来ないまま、15歳で1月1日に自ら毒を飲まされ、俺は死んだ
使い様
使い様
(で、現在ここにいる訳)
札番号五八九
札番号五八九
ここが各自の服がある場所らしいです
使い様
使い様
何にもねぇじゃん
札番号五八九
札番号五八九
後ろの車両にコロコロ店が変わる仕組みの不思議な空間がありますので、いつか服は調達できますよ
使い様
使い様
そうか……?
札番号五八九
札番号五八九
ここは寝室ですね
使い様
使い様
車両にベット置いてある……なんか……既視感
札番号五八九
札番号五八九
既視感……?
使い様
使い様
なんでも、次は?
札番号五八九
札番号五八九
は、はい!
札番号五八九
札番号五八九
ここはお風呂場と御手洗があります
使い様
使い様
うわぁ、窓開けながら風呂入ると絶対楽しいじゃん!
札番号五八九
札番号五八九
ですよね!
使い様
使い様
てかこの車両どこまであんの?
札番号五八九
札番号五八九
5、6車両かと
使い様
使い様
なるほど
札番号五八九
札番号五八九
ここは台所ですね
使い様
使い様
俺台所見るの初めて……てか今更列車とかも……
使い様
使い様
ね!お前料理作れんの!?
札番号五八九
札番号五八九
は、はい、一応
使い様
使い様
じゃあその、今度教えてよ……
札番号五八九
札番号五八九
も、もちろん!
札番号五八九
札番号五八九
ここが……コロコロ変わる不思議な空間です
札番号五八九
札番号五八九
どうやら今日は八百屋さんですね
札番号五八九
札番号五八九
野菜……取って行っちゃいましょう
使い様
使い様
え、盗むの?
札番号五八九
札番号五八九
盗むも何も、お金がありませんし
札番号五八九
札番号五八九
この列車には俺と使い様しか居ません
使い様
使い様
あ……そっか……
使い様
使い様
そうだね
札番号五八九
札番号五八九
さて、じゃあ晩御飯作りますね
札番号五八九
札番号五八九
お疲れでしょうから今日は休んでください
使い様
使い様
ありがとう……
彼は俺よりも早く先に台所へと向かってしまった
使い様
使い様
……友達って、こんな感じなのかなぁ……
俺は友達はもちろん、兄弟ですら話せないようにされていた
神社の外に1度もいったことがない、監禁されてたし、外出なんて認められない
唯一、部屋から外に出れた時は俺が死んだ日だ
使い様
使い様
ん?待てよ
使い様
使い様
あいつのコミュ力が凄く高いのか、俺の隠れたコミュ力才能が開花したのか?
使い様
使い様
なんか……秒で仲良くなれてね?
札番号五八九
札番号五八九
もちろん!使い様の才能ですよ!
使い様
使い様
うわぁ聞いてたのか!?
札番号五八九
札番号五八九
はい、もちろん!
札番号五八九
札番号五八九
あダメでした?
使い様
使い様
いやいいけど……
使い様
使い様
そうだ、その……やっぱ俺疲れてないから……
使い様
使い様
……料理教えて
別に友達なんて欲しくないけど、でも、なんか……
今更、このまま離れてったら嫌な気がする
少しでも……
一緒に居たい……
札番号五八九
札番号五八九
もちろんです!使い様の頼みとならば……
使い様
使い様
…………
札番号五八九
札番号五八九
え?
使い様
使い様
あ、雨神 雫あめかみ しずく!!
雨神 雫
雨神 雫
俺、雫って言うから!
札番号五八九
札番号五八九
……雫様……
雨神 雫
雨神 雫
様付けなくていい
札番号五八九
札番号五八九
でも……
雨神 雫
雨神 雫
いいから!
札番号五八九
札番号五八九
は、はい、雫君
雨神 雫
雨神 雫
……たしかお前、五八九だっけ?
雨神 雫
雨神 雫
本名?
札番号五八九
札番号五八九
本名というか……生まれた時からなので……
雨神 雫
雨神 雫
そうか……じゃあ……
雨神 雫
雨神 雫
五八九……コハク!!コハクは!?
札番号五八九
札番号五八九
コハク……そっか……五八九だから……
コハク
コハク
……ありがとう……嬉しいです……
雨神 雫
雨神 雫
ん!じゃえっと……ナッツ……?ロー?
コハク
コハク
レッツゴーです
雨神 雫
雨神 雫
……
雨神 雫
雨神 雫
レッツゴォォォォー!!!!
恥ずかしくてその場から俺は逃げた
恥ずかしかった、顔が焼けるかと思ったが、それ以上に……誰かと親しく話せたことが夢のように嬉しかった、赤くなってニヤけふやける顔を隠してさらに加速をして台所へ行った

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