初め会った時は少し驚いた表情をして、その後俺に向かって律儀に礼をしてきた綺麗で美しい少年
この列車の外からこちらを眺めるとすれば、星が飛び回る綺麗な宇宙とレトロな列車、綺麗な少年、戸惑う俺という異様な空間が映し出されるだろう
気づけば、五八九といった少年が戸惑う俺になにか言いたげに見えた
そしてぎこちなく、気まずい空間のまま後ろの車両へと案内された
ここはどうやら神の部屋みたいなもんだと言われてきた
が
全然違う、部屋じゃないじゃん!列車じゃん!
……俺はとある神社の息子だ、5人兄弟の4男だ
そして、彼が最初驚いた理由は恐らく……俺が男だからだ
元々ここには神社の娘が捧げられるはずなんだが、家族は何故か男しか産めなかった
話によれば
母「そうだ!1番女顔の子を捧げましょ!」
父「天才か!?いいな!じゃあ3男~5男で1番女顔のやつに女っぽい名前を付けて、捧げものとして育てよう!」
だそうだ
いや俺の両親クソすぎじゃね????
そうして、俺が選ばれ、小さい頃からほとんど監禁されて常識範囲の勉強させられて
好きな格好も出来ないまま、15歳で1月1日に自ら毒を飲まされ、俺は死んだ
彼は俺よりも早く先に台所へと向かってしまった
俺は友達はもちろん、兄弟ですら話せないようにされていた
神社の外に1度もいったことがない、監禁されてたし、外出なんて認められない
唯一、部屋から外に出れた時は俺が死んだ日だ
別に友達なんて欲しくないけど、でも、なんか……
今更、このまま離れてったら嫌な気がする
少しでも……
一緒に居たい……
恥ずかしくてその場から俺は逃げた
恥ずかしかった、顔が焼けるかと思ったが、それ以上に……誰かと親しく話せたことが夢のように嬉しかった、赤くなってニヤけふやける顔を隠してさらに加速をして台所へ行った
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!