【 神楽坂side 】
〈 ピンポーン 〉
〈 ガチャッ 〉
扉を開けると、諸伏君と風見さんがいた。
とりあえず、私が助けたけど知らないフリでも
しておこう。
ジャックローズの方の携帯にスコッチから
メールが来たとき、私の方の携帯にも
諸伏君からメールが来ていた。
『ごめん、生きて帰れるか分からない。』
という具合いのメールだ。
つまり、周りの人に聞かれたくないからだろう。
2人を家にあげて、お茶を出す。
私が席につくと、風見さんが口を開いた。
なんて事を呑気に考えていると、風見さんが
爆弾を落とした。
数秒間、沈黙の時間が流れた。
いったいどういう事だ…
風見さんがそう言うと、諸伏君がハッとした。
バイクに乗る時、後ろに乗る人は前に乗る人
の腰に手を回す。
それぐらい大丈夫だと思っていたが…
大丈夫じゃなかったようだ…。
諸伏君は少し考えた後、何か思い付いたのか
私に近づいてきた。
その瞬間、諸伏君は私が来ていた服を
勢いよく脱がした。
ズキッと腕に痛みを感じた。
その時、諸伏君は驚いた顔をした。
そう、私の腕に巻かれた包帯…
それは諸伏君を乗せたバイクを走らせた
時に負った傷。
〈 バチンッッ 〉
私は思い切り諸伏君の頬を引っ叩いた。
風見さんが溜息を吐いた。
諸伏君は顔を隠しながら、何度も謝った。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。