【あなたside】
部活終わり。制服……ではなく、いつも着ているパーカーを着て、制服のスカートを履いて、
と、先輩に挨拶して部室を出る。リュックを背負ってポケットに手を突っ込んでいれば、
正面から、可愛らしい女の子がやってくる。顔を赤くして、私を見ている。
念の為聞いてみれば、案の定差し出されたのは、1つの手紙。
そう言って、手紙を渡してくる女の子。またか……。女の子からの告白はもう日常茶飯事。同じ子に3回くらい告られたこともある。私は、少し息をついて、
うわー……しつこい系だ。苦手なやつ。けど、傷付けるのは避けたい。
断りの時点で泣きそうになっていた女の子だけど、私が手紙を受け取ったら嬉しそうに笑った。
そして、女の子と別れたあと。
後ろから男の子がしたので振り返ってみれば、背の高い顔の整った男の子がいた。でも私、この人と喋ったことあるっけ。でも見たことあるし……と悩んでいれば、
と苦笑しているその男の子に、こくんと頷けば、
そう私に挨拶して、去っていくその人。
そう呟いて気付いたんだけど、私もマイペースだ。私に似てる?なんて共通点を1つしか見つけてないのに。
1人でそう呟いて家に帰った。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。