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キーンコーンカーンコーン……
ウェンさんのお弁当はまさかのキャラ弁だった、
なんと……恐竜の。
………ウェンさんって私のお母さんでしたっけ?
〜〜〜〜〜
すっかり日も暮れて夕方。
辺りを見渡すと、帰路につく人で溢れかえる。
キャアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!!!!
突然、女の人の悲鳴が聞こえた。
すると向こう側から続々と人が走ってくる。
みんな……"ナニカ"から逃げるように。
大人も子供も皆が、緊迫の表情をしている。
ふと気がつけば私以外の人はいなくなっていた。
さっきまで人でいっぱいだったのが嘘のよう。
………キュー………キュキュー……
私の背後に現れた、白と黒の生物。
頭からは猫耳っぽいものが生えている。
近づいて、よく見てみようと忍び寄る。
…………私はすっかり油断していたのかもしれない。
ネコだと思っていた生物は私が目の前に来ると、
パカァ…と大きく口を開けたのだった。
肉食動物が小動物を捕食するように。
バクン……
食べられる……!
そう思ったあとにやって来た浮遊感。
目を開ければ、朝も見た顔が私を抱きかかえていた。
向こう側も私に気づいてなかったようで、
目を大きく見開いて、驚いているのが伝わった。
「すぐに終わらせてくるから」
マスクで顔は覆われていたけど、
にっこりの笑顔でリトさんは走っていく。
…………ドゴォォォォン…!!!
再度、"落雷"のような爆音が響く。
しかも……先程ある人が走っていった方から。
リトさんに何かあったかもしれない……!
そう感じ、居ても立っても居られなくなった。
私は決して速くはない脚で走り出した。
記憶を辿り、リトさんを探す。
学校の門まで来たが姿は見当たらない。
もう少し置くまで行くと、黄色のパーカーが見えた。
そこに居たのは___酷く傷を負ったリトさんだった。
顔は血で汚れ、節々はボロボロになっている。
大丈夫だって、と私をなだめるリトさんは
全く平気そうには見えなかった。
不意を突かれたようにリトさんは目を丸くする。
さっき現れた白と黒の生物や、今のリトさんの様子。
きっと私の知らないところで何かが動き出している、
そんな感じがするのだ。
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。