3月1日(日曜日)
今から私がやろうとしていることは最低なことだと思う。
美羽が辛い思いをするのを分かっていても。
透也に「嫌な奴だ」と思われても。
それでも。それでも私は大和に自分の気持ちをきちんと伝えたかった。
だから、目の前にある事から
解決しようと思う。
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今からきちんと伝えに行く。
別に意識した訳では無いけれど大和と初めて会った時の服を着ていた。
「行ってきます!」
自転車をこいで駅前の喫茶店に行った。
(カランカラン)
美羽はもう来ていた。
「久しぶりー!おはよう☀」
「うん。おはよう。美羽^^*」
やっぱり私はオレンジジュースで、美羽はミルクコーヒーを頼んだ。
初めは流行りのこととか楽しい話をした。
「それでさ美羽。話なんだけど。」
「ごめんね。ほんとごめん。あなたから誘ってくれたのに。私から…話していい?」
「うん。いいよ。」
「あなたごめんね。私あなたが大和のこと好きなの知ってた。分かってたけど、大和とあなたが上手くいくと思うと怖くて。
だから、知らない、知らないフリをした。あなたは私のために一緒に考えてくれたり、悩んでくれたり、たくさんのことをしてくれたのに。
友達になって。なんてずるいこと言って。
私…。私…。」
美羽は自分の事のように泣いてくれた。
美羽の頬にとても心の、思いやりのこもった涙がつたった。
私だったら友達のことで自然に泣けるのだろ
うか。きっと無理だと思う。美羽だからこそできることだと思う。
「ううん。ありがとう美羽。でもね美羽が思うほどいい友達じゃないよ。美羽の方がお似合いだって。私を振って、美羽と付き合ったって。その話を聞くのが怖くて。だから1番受け入れやすい友達っていう立場を選んだの。でも、大和と会わないうちに分かったの。やっぱり違うって。好きなんだって。」
「うん。私は大和となにもないから。きちんと気持ち伝えに行って。それでいい報告聞かせて欲しい。」
「うん!ありがとう美羽😊」
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!