エンジェ・アンジェ。
国の騎士。エルフ。美人。糞美人。
ベルの頭のなかにはこれだけの情報がいっぺんに流れ込んできたわけだ。もちろんサルヴィアの住人はおつむが弱い。混乱。
その時だった。再び爆音が聞こえてきたのは。それもすぐ側で。
ベル、アンジェはどちらとも武器を構える。
その途端、石のつぶてが煙のなかから飛んできた。人差し指の爪くらいの大きさだが、当たればそれなりに怪我だ。
ベル、アンジェは素早く避ける。
人間じみた動きではない。
<豪々の天使>。
それはこの国の伝説の騎士である。
流石のベルでも、知っているほど。
<シュトー>なるものは爆発で砕けた建物の巨大な欠片を浮かして飛ばしてくる。
何のスキルだろうか?
まぁ、ベルには関係ない。彼の頭の中は別の事でいっぱいだ。
どう彼女を助け、惚れさせ、口説くか。
今、この世で最も大事な問題がそれである。
勿論全部思い付きでカッコつけの勢い任せな言葉である。
ベルは不敵に、不敵に見えるように、ニヤリと笑った。
彼の内心は知ったことでは無いが、格好つけているのか、ただの出任せか、強がりか、なんにせよ国に楯突いたことは確かだ。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。