第6話

-5-
53
2023/10/09 12:13
エンジェ・アンジェ。
国の騎士。エルフ。美人。糞美人。
ベルの頭のなかにはこれだけの情報がいっぺんに流れ込んできたわけだ。もちろんサルヴィアの住人はおつむが弱い。混乱。
バーサーク・ベル
え、あぁ、そうか…
エンジェ・アンジェ
そうだ。宜しくな
その時だった。再び爆音が聞こえてきたのは。それもすぐ側で。
ベル、アンジェはどちらとも武器を構える。
エンジェ・アンジェ
君、あまり油断はしない方が良い。
<シュトー>様は何をするか分からない
その途端、石のつぶてが煙のなかから飛んできた。人差し指の爪くらいの大きさだが、当たればそれなりに怪我だ。

ベル、アンジェは素早く避ける。
人間じみた動きではない。
エンジェ・アンジェ
<シュトー>様!!
お止めください!!このままでは街が壊れてしまう…!!
<シュトー>
うるさい、<豪々の天使>エンジェ・アンジェ。お前はもう騎士ではない
<豪々の天使>。
それはこの国の伝説の騎士である。
流石のベルでも、知っているほど。
バーサーク・ベル
エンジェ…!?貴方…あの…!?
エンジェ・アンジェ
や、やめてくれ、そんなに褒め称え無くても…
バーサーク・ベル
あの王宮爆破事件の首謀者という…!?
エンジェ・アンジェ
…いやあれはだな
<シュトー>
そうだ。その事件によりそいつは王宮を追放されている
エンジェ・アンジェ
それは…
<シュトー>
言い訳は無用だ。
王より直々にお前も消せとのご命令だ。死ね。
<シュトー>なるものは爆発で砕けた建物の巨大な欠片を浮かして飛ばしてくる。

何のスキルだろうか?
まぁ、ベルには関係ない。彼の頭の中は別の事でいっぱいだ。

どう彼女を助け、惚れさせ、口説くか。
今、この世で最も大事な問題がそれである。
バーサーク・ベル
…任せてください、<豪々の天使>、エンジェ殿。私が、貴女を助ける
エンジェ・アンジェ
君は──
バーサーク・ベル
俺はバーサーク・ベル!!<シュトー>?王?知らねぇな!掛かってきやがれ!!
勿論全部思い付きでカッコつけの勢い任せな言葉である。
<シュトー>
ほう、バーサーク・ベル。
君も国の反逆者、だな?
ベルは不敵に、不敵に見えるように、ニヤリと笑った。
バーサーク・ベル
名前だけでも覚えて死ねよ
彼の内心は知ったことでは無いが、格好つけているのか、ただの出任せか、強がりか、なんにせよ国に楯突いたことは確かだ。

プリ小説オーディオドラマ