第35話

体育大会編[7.]
17
2024/04/29 13:28
私が休むと選択した部対抗リレー。
男子の先輩が代わりに出てくれることになったらしい。

友達が走っていたりするのを見て、自分も出たかったな、と思う。



運動部はやっぱり速かった。

なんと帰宅部も出場していて、何故かトラックではなく校舎の周りを一周。

「すごっ!!」って、思わず私も拍手してしまった。



いろんな部活が、いろんなものをバトン代わりに走っていて、すごく面白かった。

すっと出てくるのは、そんな感想。





そしてその後、学年別クラス対抗リレーも行われた。

琳音は第三走者。

周りと差をつけて走らなければならない、割と重要な役割。

手を抜くとか、許されない。

でも、そんな重要な役割を任された琳音は、内心めちゃくちゃに緊張していた。
有栖 琳音
有栖 琳音
(あーもう、こっち休んどけばよかった)
そんなことを考えたって、もう遅い。

第一走者は、すでに走り始めようとしていた。

走る距離は100m。トラックの半周。

ちゃんと走る以外の選択肢なんてない。


…でも。
有栖 琳音
有栖 琳音
(あ〜〜〜〜、も〜〜〜っ!!!!)
先生見てくれないし、なんて思ってしまった自分を吹き飛ばす。

_ほら、もうすぐバトンが回ってくる。

順位としては、6クラスあるうち、4位くらい?

なんでもいいか。元から、1位を獲る気なんてないし。
クラスメイト
…ごめん!!
第二走者の子が、叫びながらバトンを繋いでくれる。

何も謝る必要なんてないのに。

私も頑張って走ったけれど、一人ギリギリ抜かすくらいしか出来なかった。

アンカーもみんな速くて、結果は4位。

こんなもんか、とかしか思えない自分が恥ずかしくなってくる。
クラスメイト
クラスメイト
ごめん〜〜〜、抜かせなかった〜…。
有栖 琳音
有栖 琳音
いやいやいや!!!
めっちゃ頑張ってたじゃん良かったよ!?
そう。謝ることなんて一つもない。

なんなら、謝るべきは私の方だ。



そして、そうこうしているうちに2年生のリレーが始まった。
有栖 琳音
有栖 琳音
(D組は……あれか)
もう琳音には、2年生と言われたらまずD組を探す癖がついてしまっている。

だって、先生は………。




…と。第一走者が走り出した。

私は途中から飽きてきて、そこから3年生のリレーが終わるまで、相賀先生をこっそり眺めていることにした。
クラスメイト
おーい、りんねー。行くよー?
ハッとして顔を上げる。なんだ、もう終わったのか。

指示に従って、自分のクラスの団席に戻る。

クラス対抗リレーは全体で最後の種目。

これから、学年でどのクラスが強かったか、みたいな表彰が行われる。
如月 由歌
如月 由歌
あ、4人ともおかえりーー
箕輪 澄玲
箕輪 澄玲
惜しかったねー…
クラスメイト
クラスメイト
私がもうちょっと抜かせてたらなぁ…w
有栖 琳音
有栖 琳音
いや十分速かったよ!?w
団席に着いて、他愛もない会話をしていた。








_その時だった。
??
_…ちょっと待ったぁ〜〜〜!!!
マイクを通した誰かの声が、運動場に響き渡った。

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