目の前には、銃を手に持ったかあいいさんと
腕を撃たれ苦しそうな男がいた。
ハンター、と呼ばれる男は辛うじて銃を上げ、
かあいいさん目掛けて発砲する。
かあいいさんはそのまま手を開き
勢いの消えた弾丸をその場に落とす。
その時のかあいいさんの手は
岩のように頑丈だった。
かあいいさんはズカズカとハンターに近付き、
首を掴んだ。
その瞬間にハンターは首から石となっていく。
数秒経つとハンターは全てが石になり、
コロッと地面に転がり動かなくなった。
かあいいさんは振り返り、俺たちを見る。
あっきぃの言葉を聞くと、
少し切なそうに笑って
話し始めた。
かあいいさんは、暗くなった空を見上げこう言った。
儚く、笑いながら。
かあいいさんは後ろを向き、歩いていく。
その時にふと風が起こり、髪の毛が揺れて首元が見えた。
あぁ、あっきぃも見えたんだろうな。
もうどうにもできない証が。
かあいいさんはまた後ろを向き歩いていく。
あっきぃが泣き声を堪えながらしゃがむのが見える。
俺の視界も、生ぬるい液で見えずらくなる。
かあいいさんはひたすらに、歩いて見えなくなっていく。
ぷりちゃんの声にあっとくんとまぜたんが続き、
3人がかあいいさんと反対方向を歩いていく。
後ろから聞こえるあっとくんの声は
優しくも、俺たちを支える様な
芯のある声だった。
3人の居るところまで小走りで追いかける。
そして6人揃い、また歩き始める。
あっきぃは、会いたかったなとでも言うように
悲しそうに笑った。
俺が、貴方を助ける"イメージ”をするから。
どうか貴方には
これからも生きていて欲しい。
どうして、彼らは少しの希望を持ってるんだろう。
首元を触る。
そこはもう、石と化して治らないであろう。
このまま身体中が石化して、心まで侵し死に至る。
今まで治してあげられなかった子供はたくさんいた。
その子供に死ぬ前何度も言われるのは
感謝の言葉。
努力してくれてありがとう
俺のためにありがとう
微かな希望をありがとう
私は今日も旅をする。
苦しんだ子を救うため。
私自身を救うため。
また出会えたら笑って久しぶりって言おうね
それじゃ、"またね”
次話 「 もうお前らと
居るのは嫌だ。 」
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。