第7話

三頁 .
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2024/02/26 09:00












雨宮 あなた
 あめふりさん 、 と … 誰 ? 

芥川 龍之介
 僕は芥川龍之介 。 宜しくね 、 雨宮さん 。 

雨宮 あなた
 ああ 、 『 蜘蛛の糸 』 の 。 
じゃあ貴方は羅生門さんだね 。

北原 .
 ( 名前に使うのはそっちなのかい ) 




彼の放つオーラに物怖じすることなく話しているあなた 。


雛を巣立たせた親鳥とはこのような気持がするのだろうか 。
良い詩が書けそうだ 。


芥川 龍之介
 此処に 、 僕の本はあるかな ? 

雨宮 あなた
 あるよ 。 そこの棚の一番上 。 




到底取ることの出来なさそうな上 。


脚立も梯子も無い 。
どうやってあの場所に仕舞ったんだろう ?



雨宮 あなた
 届かないんだけどね … 

芥川 龍之介
 なんであんな所に … ? 

雨宮 あなた
 さあ …… 。 



「 お陰で読もうと思っても読めないんだ 」 と不満げに呟かれた 。



此処に嘗て誰かが居たのか 、 其れは定かではない 。

僕は 、 其れを知ろうとも思えない 。



芥川 龍之介
 君は何時から此処に居るの ? 

雨宮 あなた
 わかんない 。 

北原 .
 出たいとは思わないのかい ? 

雨宮 あなた
 思わないよ 。 
外がどうなってるかも知らないし 、 やりたい事も無い 。



「 お洒落も日の光も興味無いんだ 」 と続けて言われる 。


揺り椅子の後ろのステンドグラスから差し込む光が床を鮮やかに染めていた 。

確かに日の光は必要無さそうだ 。


北原 .
 ( この地下室は 、 ) 


とそこまで考えてやめた 。


彼女の意思に深入りすることほど判らない事は無いとこの数週間で知った 。
僕に彼女は判らない 。


芥川 龍之介
 あ 、 そろそろ夕食の時間じゃない ? 

北原 .
 おや … 何時の間に 。 
またね 、 あなた 。

雨宮 あなた
 じゃあね 。 




扉を開いて廊下に出る 。




振り返ると 、 僕達が出てきた筈のドアは消えていた 。

















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