第14話

九頁 .
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2024/04/15 09:00














雨宮 あなた
 __ ぴちぴちちゃぷちゃぷ 、 らんらんらん ♪ 




晴れの日 、 静かに扉を少し開けて向こうに居る君を見た 。


雨の日の歌を歌っているのは何故 ?
それを考えた直後 、 思考は別の事柄に置き換えられた 。



雨宮 あなた
 あめふりさん 、 入って来なよ 。 
そんなところでずっとこっち見て如何したの ?




気付かれていた 。



彼女の察知能力は大したものだな 、 と思いながら観念して扉の向こうに入る 。

ぶわりと香ってくる紙の匂いが 、 嫌に心地良かった 。



北原 .
 済まないね 、 君が余りにも楽しそうに歌っているものだから 。 

雨宮 あなた
 あめふりさんも一緒に歌えばいいじゃん 。 
なぁに 、 若しかして恥ずかしいの ?

北原 .
 君は逆に僕に見られていて恥ずかしいとかは思わなかったのかい ? 

雨宮 あなた
 全然 。 寧ろ見られてた方がパフォーマンス上がるから嬉しかったよ 。 

北原 .
 それは凄いね … 何か人前でする機会があったのかい ? 

雨宮 あなた
 むさちゃん … 国木田さんには話したんだけど 、 ヴァイオリンが趣味でね 。 
コンサートとかでちょっと弾かせて貰ってたの 。

北原 .
 それはそれで凄いね …… 




国木田君には話したのか 。


最近芥川さんから彼女の話を聞かないな 、 と思いつつ次の話を振る 。



北原 .
 ヴァイオリンは此処にあるのかい ? 

雨宮 あなた
 さあ ? でも無さそうだよ 。 

北原 .
 それは残念だね … できれば君の弾いている所 、 見たかったよ 。 

雨宮 あなた
 う ー ん …… 機会があれば 、 その時にね 。 
















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