西條と中原は指定時間迄
とある場所の近くで何も考えずにただフラフラと歩いていた
この時の平和な時間が好きだ
この時は役職も、使命も、何も考えなくてもいい
だが幸せな時間ほど直ぐに壊れることを西條は苦しいほど痛感していた
前世のこと、織田作之助の死、太宰の裏切り、いきなり現れた後輩も自分から離れた
何も望んではいけない
路地裏を歩いていると背後から殺気を感じられたので直ぐさましゃがむ
そのタイミングで中原が背後に居た者をに蹴りを繰り出す
術式を使うと
“ターゲット”である男は地面にめり込み潰れた
“重力使い”と呼ばれている男にとって
西條の重力操作はアイデンティティを強奪…いやモロかぶりしているのだ
清々しいほどの笑顔で言われる男…
目の前の死体の目の前で喋る
何事も無かったかのように…人を殺しても尚何も感じない
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。